MALICE MIZER ‐‐Review‐‐

かつてのヴィジュアル四天王のひとつであるマリスミゼル。Gackt、Mana、Koziという3人が絶対音感を要した奇跡的コテコテヴィジュアルのバンドでした。その衣装コンセプトとあわせて、楽曲の方も中世ヨーロッパをイメージしたメロディックなロックでした。しかしその後、ご存知の通り、Voのガクトが脱退。追い討ちをかけるようにDrのkamiがくも膜下出血で他界とこれほどまでにない、ダメージを受ける。その後は残された3人で活動し、途中で新VoのKlahaを迎えますがその時のダメージは大きく、その後は短命に終わります。しかし、当時与えた衝撃というのは計り知れないほど凄かった。現在、Gacktはご存知の通りソロで歌に俳優にと大活躍。Mana様はMoi dix Moisで活躍中(海外でも人気です)。

レビュー作品

> La Collection des Singles > merveilles


La collection des Singles“シングル・コレクション”(DVD付)

La Collection des Singles(2006)

   活動休止後、数年が経ってから発売されたMALICE MIZERのシングルス。といってもこれはGackt在籍時に発表した5枚のシングルに限られる。全9曲収録にDVD付き、さらにはオルゴールもついていたそうだ。

 あの当時はシングルのカップリングまで抑えていたわけではなかったので、今頃になってようやく聴いてみたのだが、9曲ながらにMALICE MIZERの音楽性と世界観がしっかりと表現された作品になっていると感じた。過剰すぎるほどのドラマがここでも繰り広げられている。ヒットシングル5枚も入ってりゃあそれも当然といえば当然なのだが、フランス風の美しき葬送歌#4「au revoir」をボサノヴァにアレンジしたり、最大のヒット#6「月下の夜想曲」をアコーディオンを使ってスペイン風味にアレンジしたりと遅まきながらその変化を楽しむことができた。シングル自体もアレンジが違う曲が多く、Gackt在籍時のラストシングル「Le Ciel」は完全に「merveilles」とバージョン違い。物静かに寂寞を募らせれば、サビで一気に大空に羽ばたく様なダイナミックな構成になっていて非常に強弱が付いた格好になっている(そのおかげで、この後Gacktがソロという大空に飛び立ってしまうわけだが・・・)。コアなファンは除いて、俺みたいなGackt抜けた以降は知らんという不良ファンのおさらいとして使ったり、ソロ活動してからのGacktのファンになった人まで幅広い層からフィードバックがもらえそうな作品だ。だが、ヴィジュアル系商法らしくいささか値段が高いのが玉に瑕。


merveilles

merveilles(1998)

   悪意と悲劇を意味するMALICE MIZERの登場は衝撃的だった。当時、中学1年生であった俺はテレビで彼等の姿を見て唖然とした。ロックバンドたるものがどこからどう見ても端整で美しく、十分に手入れされているヨーロッパの人形のようなMALICE MIZERの姿がそこにあったからだ。インタビューでもお人形さんと話しているようでほとんど何も喋らない。まだ若く見識が狭かったとはいえ、何もかもが前代未聞だったバンド、それがMALICE MIZERについての印象だった。

 そんな彼等の音楽はヴィジュアル面からも伺えるように中世ヨーロッパの耽美な世界観を基調とした美しいロックサウンドが特徴だ。クラシックスタイルも導入し、ヴァイオリンの美麗な旋律、ピアノは儚げに芸術性を加味、シンセサイザーや電子音はアクセントとして非常に良い効果をもたらしている。ジャンルでいえば、ゴシック色の強いロックと言えそうだが、崇高でこれほどまでに芸術性の高い音楽を奏でていたのか!と驚く方も多いだろう。さらに言うならば、アルバムを通してのストーリーの壮大さ。今作は多岐に渡る幅広い楽曲で構成されており、バラエティに富む内容でその楽曲たちの結びつきは強く1本の映画を見ている感覚に陥る。気品ある美しいエーゲ海を眼下に映すような美しく綺麗な世界が広がっていくように。

 荘厳華麗な芸術的クラシカルロックの#2で大仰な世界へ。ロックの醍醐味とゴシックサウンドの融合を図った衝撃のデビューシングル#3、中世の礼拝堂での儀式サウンドともいうべき混沌が広がる#4と攻撃的な楽曲が続く。儚くも美しい世界観に浸れる#6,今作で最も名曲と思える#7はヴァイオリンの美しい旋律が琴線に触れる。#9では鮮烈なデジタルロックも聴くことができる。#10はシングルカットもされた、一面が雪化粧に包まれるような白く美しい世界が堪能できる名曲。#11「月下の夜想曲」はおそらく彼等の楽曲で一番有名な楽曲だろう。

 Gacktの在籍は一瞬の幻の華だったのか?と思うぐらいにあの頃は奇跡を歩んだ彼等。しかしながらMALICE MIZERというバンドが残したものは非常に大きいと俺は思う。これほどまでヴィジュアル系の徹底した世界観の完成と言うのは彼等無しでは決してありえなかったからだ。後にも先にもMALICE MIZERほどの個性を持つバンドの登場はありえない。ヴィジュアルシーンのみならずその独特のキャラクターと唯一無二のアイデンティティで各界に衝撃を与えた“本物のヴィジュアル系バンド”と言えるだろう。

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