Martin Schulte ‐‐Review‐‐

ロシア在住のDJ / プロデューサー。12歳にエレクトロニック・ミュージックに目覚めてから、楽曲制作/DJ活動に精神を捧げてきた期待の新星。まだ20代前半ながら、既に世界的に確固たる地位を築き上げている。


Depth Of Soul

Depth of Soul(2008)

 ロシアの若すぎる新鋭によるデビュー作。「森林浴系ミニマル職人」なる強烈なキャッチコピーがつけられているみたいだが、深い悦楽に引きずり込むような電子音の洗礼は確かに心地が良い。Bassic Channelを思わせるディープ・ミニマルを基調とし、そこに美しいシンセやグリッチを絡めながら酩酊と覚醒を聴き手にもたらせていく感じ。ダビーな残響音やエコーが霧がかった演出にキレイめな音粒子が有機的に絡み合っている。そのなかでパーカッシヴなリズムやハイハットの心地よい振動を盛り込むなど、低い重心のビートには一定の工夫も見られる。また、ガラスがガシャンと音をたてて割れたようなサンプリングや人々の会話が挿入されたりもしている点もおもしろい。優美なアンビエント感覚にタビーな空間性を伴いながらも、深遠な響きを持った電子音が揺らめき続けている。これは、彼自身のインスピレーションに基づいたという独自のサウンド・テクスチャーが形成されていることの証だ。作品としては、フロア的な快楽よりもスピリチュアルな楽園が広がっている感じで、静かな昂揚感が味わえるはず。9曲で60分超あるけども聴き続けていると、意識の深層まで開かされていく感覚に誘われる。全体的にはクールで空虚な印象すらあるが、不思議とどこか温かみを感じるのはタイトル通りに”ソウル=生命力”が込められているからだろう。ジャケットも作品を的確に表している良作のディープ・ミニマル。

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