摩天楼オペラ ‐‐Review‐‐

2007年結成のヴィジュアル系シンフォニック・メロディック・スピードメタル・バンド。Verisallesと共にシーンを引っ張る存在として、既に多くの支持を得ている。2011年7月発売のシングル「Helios」はオリコン・シングルウィークリーチャート16位、続く10月発売の「落とし穴の底はこんな世界」も19位を記録。2012年3月にはメジャー1stフルアルバム『Justice』を発表した。2013年3月にはメジャー2ndアルバム『喝采と激情のグロリア』、2014年9月にメジャー3rdアルバム『AVALON』をリリース。

レビュー作品

> AVALON > 喝采と激情のグロリア > Justice


 

AVALON

AVALON(2014)

 

 約1年半ぶりとなるメジャー3rdアルバム。前作『激情と喝采のグロリア』の時点でコテコテのとんこつラーメン系の濃ゆいメタルでしたが、本作ではさらに具と麺を増量し、伊藤賢治氏や小林智美氏の助力を得てロマサガ化も果たす二郎化寸前のこってり具合。背脂が光り輝く壮大シンフォニック・メタルとなっております。

  そもそもの発端が伊藤賢治氏とのコラボ曲となるオープニング#1「journey to AVALON」なのだが、スタートからクリアまで凝縮したようなRPGサントラっぷりは単純に凄いの一言。『AVALON』という物語の始まりを告げるはずが、正直なところ2分47秒でロマサガを全クリした気分に浸れる(笑)。それ以降はお得意のドラマティカル・シンフォニックメタルを展開していくが、卓越した技術と練られた構成による楽曲群は、「輝きは閃光のように」や「クロスカウンターを狙え」などの中二病臭いタイトルを冠することで、恐ろしいインパクトを持つまでに昇華されている。特に、#2「天国の扉」の勇壮なスピード・メタルぶりは会心のガッツポーズをあげたくなるほどだ。稲葉浩志マジリスペクトな苑のヴォーカルが変わらずの迫力とビブラートで濃厚な味付けを施し、過剰なオーケストラ・アレンジも作品を優美壮大へと拍車をかけている。

 もちろん疾走曲だけでなく、バラード調の曲でもこってり具合に変わりなし。#5「3時間」にしろ、#10「友に捧ぐ鎮魂歌」にしろ、#11「Orb」にしろ、あの手この手で涙腺崩壊状態をつくりだす。まるで劇的選手権でも繰り広げているかのように。極めつけはラストの#12「天国の在る場所」でX JAPANに比肩しようとする豪華絢爛銀河系メタルで終幕。もはやトッピング全部乗せな過剰サービス。このやり過ぎ感、濃厚さこそが摩天楼オペラの特色だろう。『激情と喝采のグロリア』をさらに煮詰め、「壮大で劇的なロック」が実を結んだ本作で血と汗と涙を流せ!!


喝采と激情のグロリア

喝采と激情のグロリア(2013)

 1年というスパンでリリースされたメジャー2ndアルバム。昨秋からタイトルにある「喝采と激情のグロリア」をテーマに掲げて制作されたコンセプト作品となる。

 本作でも様式美HR/HMが基軸。あるがままの自分たちを貫き、シンフォニックなアレンジで豪華に楽曲を彩り、よりオペラチックな合唱を取り込むことでさらにスケール豊かに聴かせてくれる。往年のメタルファンをも魅了するだろうツインギターの音色、瑞々しいキーボードの旋律、そして荘厳なクワイアやオーケストレーション。お腹がいっぱいになりそうなぐらいの厚みと派手さを備えたサウンドの上に、本作では合唱をフィーチャしているのだが、それも堂に入っている。バンド本来の持ち味に、大きなプラス材料が加わり、前作からの順当な成長を感じる人も多いはず。攻撃的なリフと爽快なまでの疾走感でアルバムの幕を開けるシングル#2「GLORIA」は、アルバムのクオリティを確信する良曲であるし、いい意味でのヴィジュアル系臭さとヘヴィさがメロスピ系と混じり合う#3「Plastic Lover」、シタールっぽい音で意表を突く#5「Freesia」、バラード調の#10「永遠のブルー」までバラエティの豊かさもまた耳を引き付ける。

 そんな本作でハイライトとなるのが、ソナタ・アークティカ+RPGなインスト#11「Midnight Fanfare」を経てのラスト#12「喝采と激情のグロリア」の流れ。スピーディな展開と勇壮かつシンフォニックなサウンド、アカペラの力強い歌唱で最後を締めくくるこの楽曲は、今の摩天楼オペラの実力を十二分に感じさせる内容。バンドとしても自信作とのことだが、さらなる磨きのかかった本作はかなり充実した作品といえるだろう。摩天楼オペラもOZZFEST JAPAN 2013に呼ぶべきですよ。


 

Justice

Justice(2012)

   3年にも迫る歳月を経て完成したメジャー1stアルバム。Versaillesと並んでヴィジュアル系シンフォニック・メロスピを標榜しつつ、ヘヴィに大仰にチューンアップした楽曲はそれだけでインパクトが大きい。

 安定したプレイで屋台骨を支えるリズム、その上で獰猛耽美にツインギターが咲き乱れ、Within Temptationばりの荘厳なオーケストレーションやストリングスが壮大に盛りたてていく。序盤からド派手なクワイアとツーバスがリードし、弾きまくりのギター・ソロが炸裂するメロスピ#1「Justice」からして強烈すぎ。多様なヘヴィメタルの因子を所々で撒き散らしながら、コンセプトでもある耽美世界をしっかりと描き出している。華やかで美しく、かつ激しさを伴って聴き手を魅了。Voのヴィジュアル系歌唱は賛否が別れると思うが、特有の艶やかさと伸びやかさを持つ。あちこちでいわれてる通りにハイトーンでは稲葉浩志がよぎるほどで、ウルトラソウルを注入していくのもポイントのひとつ。それにJ-POP/歌謡曲センスが冴えていて、技巧派のサウンドの中でキャッチーさを丁寧に保っている。

 楽曲によってはラウドロックにも転じてモダンなイメージを与え、かと思えば70~80年代辺りのハードロックのリフが飛び出てきたりもする。シングルでも切られた#4「Helios」では瑞々しいキーボードを効果的に使いつつ、哀愁のシンフォニック・ロックを展開し、#6「Mermaid」では電子音との接近も試みてみたり、SIAM SHADEを中世ヨーロッパに連れていったインスト・チューン#9「Just Be Myself」まで飛び出す始末。さらに3.11の震災で傷ついた全ての人達に届ける懐の深いバラード#12「絆」の温かさには涙腺が緩む人も多そう。その中でも前述した#1に加え、こちらもシングルで発売されセンセーショナルなサウンドで話題をさらったドラマティックな展開を持つ#3「落とし穴の底はこんな世界」、耽美にエキサイティングに飛翔し続ける#10「アポトーシス」といった疾走曲がとにかく本作では強力だ。

 メタリックなアグレッションや壮大さに拍車をかけるなどバンドの幹を太く逞しくしつつ、それを音楽性の拡張にも生かしているのは見事。Versaillesと双璧を成す飛躍を遂げたと言える良作である。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!