Mice Parade ‐‐Review‐‐

HIMやディラン・グルーでも活躍するアダム・ピアースによるポストロック/エレクトロニカ/ダブ・プロジェクト。無国籍なサウンド・デザインと優しいメロディを軸に多くのファンを獲得。クラムボンのプロデュース/コラボレーション、それにフジロックやTAICO CLUBへの参戦で日本人にもなじみの存在だ。


ホワット・イット・ミーンズ・トゥ・ビー・レフト・ハンデッド

What It Means to Be Left-Handed(2010)

   約3年ぶりとなる9枚目。クラムボンやグレゴリー・アンド・ザ・ホーク等がゲスト参加している。サウンドとしては彼等らしいダブ/エレクトロニカ/ポストロック風味に、ブラジルやスパニッシュ等のワールドミュージックが重なり合う感じだが、いつも以上にポップな膜で包み込まれているのが特徴。アコースティック・ギターの穏やかな旋律にクリーン・トーンのギターが加わり、カホンの陽気なリズムとダグ・シャリンの精微で力強いドラミングが磁場を支えながら、豊かに響く。そしてその上を泳ぐキャロライン嬢のしっとりとした歌声にアダムの枯れた声がまた絶品で、丁寧で優しく紡がれる楽曲の数々に自然と笑みがこぼれるほどだ。冒頭の#1から異国の風が吹いてはひどく懐っこいメロディに和み、#3ではそよぐような演奏と歌に惹かれていく。フラメンコ・ギターやパーカッシヴなリズムなど多種の楽器が親密に結びついての豊かな響きは本当に彼等らしい。硬さと柔らかさのバランス感覚はさすがだし、音の抜け具合とダイナミズムの表現力もゆるい刺激感となって表れているのも良い。特にノスタルジックなアコギの調べが印象的な前半から力強い発展とスケールを伴っていく後半に驚かされる#6は屈指の1曲。クラムボンとのコラボで練られた#11は両者の巧みな音使いが美しいエレクトロニカへと昇華されていてこちらも聴き応え十分。全体的に驚くほど瑞々しく清新なエネルギーとポップ性に溢れているのが聴きやすくて、入門編にも向いているかも。レモンヘッズのカヴァー#8も爽やかな息吹を与えていて好印象です。

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