Misery Signals ‐‐Review‐‐

2002年にアメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキーにて結成された叙情派ニュースクール・メタルコアバンド。激情をエネルギッシュに発散する彼等のサウンドは岩石を打ち砕くようなパワフルな突進力に、空間にじわじわと広がる澄んだメロディを随所に織り交ぜた、破壊的で美しいサウンドが魅力的。

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Controller

Controller(2008)

   大地を引き裂かんばかりの迫力満点のサウンドが猛烈なうねりを上げながら突進して夥しいまでの鮮血と生涯消えない傷跡を残せば、透き通った切ないメロディが虚空に優しく広がっていき、全身を恍惚感で包み込む。それが実に破壊的かつ叙情的。そして、美しい。デビュー作以来、再びプロデューサーにデヴィン・タウンゼントを迎えたMisery Signalsの3rdアルバムはストイックに磨き上げてきた独自のスタイルが光る一枚だ。

 鋭く懐に切り込んでくる重厚なギターリフと激しく躍動するドラム、獣のような咆哮と漢臭いコーラスがニュースクール系のぶち切れる強烈なアグレッションを吐き出す。吹き荒れる怒号の嵐、破壊の連撃にはこの身も激しい衝動に駆られてしまう。いかにもメタルコアな姿勢をしっかりと保つその一方で、繊細に紡がれるメロディがポストロックのような立体的で奥行きのあるサウンドスケープを生み、独特の浮遊感を醸し出している。その激情と叙情の二極が高い次元で交わり合っているのが彼等の特徴だ。それが前述したとおりに破壊的で美しいのである。本作を初めて聴いたときは、こんなバンドいたのかあと正直驚いた、と同時に思わず歓喜してしまった。

 楽曲自体は卓越したテクニックに裏打ちされた転調に次ぐ転調で様々に表情を変えていく。猛然と破壊的な音符を叩き込めば、次には埋め尽くされた混沌をほぐすかのようにクリアなサウンドを鳴らしたり、湿っぽいアコースティックな音色やアンビエントな空間的ふくらみを効果的に配すなど表現力は実に巧み。感情に強く訴えかけるエモ・スクリーモ要素であったり、BTBAM辺りを思わせるカオティックっぷりもまたうまく昇華しており、旨味と深みを与えている印象だ。だからかやけに強く押し出されているドラマ性に陶酔する。表面上は攻撃的であるのに、所々に存在する泣きの要素に妙に心を擽られてしまうのだ。特に#4~#6までの一連の流れ、変拍子も織り交ぜたスリリングな展開とアイデアが冴え渡る#9は本作の性質を如実に表している。

 ハードコア・メタルコアのフィールドを飛び越えて新たなる領域へ。一際異彩を放つ彼等はこれからも注目していくべき存在だろう。どう進化/深化を遂げていくのか、非常に楽しみである。


Of Malice & The Magnum Heart

Of Malice and the Magnum Heart(2004)

   以前より叙情派ニュースクールとして名を馳せていたMisery Signalsがデヴィン・タウンゼントをプロデューサーに迎え、ロードランナーからデビューを飾った1stフルアルバム。

 耳にした瞬間から一気に凶悪な音像に飲み込まれる。ヘヴィで切れ味あるリフ、微妙にMeshuggah辺りを思わせるスリリングなリズム、野蛮極まりない猛々しい咆哮を衝突させて生み出される粗悪なブルータリティがいかにも激烈だ。激情があちこちで渦を巻いて炎になっていく様は凄い。確かにこういった抜きん出た攻撃力を持ったバンドはMisery Signalsのほかにも山ほどいるだろう。だが、彼等の場合は空間に柔らかく広がっていくかのような叙情的なメロディを紡ぐクリーンパートの質が以上に高レベルで、持ち味である爆音の間隙を縫うように挟まれるエモーショナルな美メロにときめかされる。それをあっさりと証明している美麗なインストゥルメンタル#6は涙を禁じえない佳曲。暴虐性と叙情性がこれほどまでに乖離しながらも、ここまで見事に融合させて独自の音楽性を追求しているバンドはあまり見受けられない。轟音の中に組み込まれた繊細な叙情性から感じられるロマンチシズムがえらく身に沁みる。感性をくすぐる浮遊感もまた逸脱だ。畳み掛けるような残虐性を軸としながらも甘美なメロディを抜かりなく組み込んだ#3には惚れ惚れするし、喉元にナイフを突きつけてるような激情をぶつけるブルータルな展開を突如として浮遊感のクリーンパートが美しく空間を解きほぐす#4、#9でまた感性を一段と刺激される。もはや聴いたら血の涙を流しながら悶絶してしまう作品である。

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