Moritz Von Oswald Trio ‐‐Review‐‐

モーリッツ・フォン・ オズワルド、ヴラディスラフ・ディレイ、マックス・ローダーバウアーというテクノお偉いさん達3人による、スーパーユニット。2009年のデビュー作『Vertical Ascent』ではミニマルかつストイックな音響空間を形成し、リカルド・ヴィラロボスが「様々な周波数でマッサージしてくれるようなアルバム」という評を下すほど全世界で称賛を浴びた。2010年初頭には初来日公演を敢行、同年9月のMETAMORPHOSEのメインステージへの出演も果たした。そして、2011年3月には待望の2ndアルバム『Horizontal Structures』をリリース。


Horizontal Structures

Horizontal Structures(2011)

    Basic Channelの総帥モーリッツ・フォン・オズワルドとマックス・ローダーバウアー、ヴラディスラフ・ディレイというベルリン・ミニマル・テクノ・オールスターズの1年半ぶりとなる2作目。本作も前作同様に4つのセッション・パートから成り立っていて、驚くべき空間性を保つ。

 反復するパーカッションとエレクトロニクス・ビートが鈍く明滅しながら響き、無限に拡がり、やがては静かに消える。それが神経質に重なり合い、延々と層を成し、循環・循環・循環。そんな途方もなく深遠な音像を本作では、ギターとベースをゲスト参加で賄うことで、無機質でストイックな空間が淡々と刻まれていく中で若干の熱と色味が感じられるようになった。前述した音を土台に、素朴なギターの響きがゆるやかに色を灯し、ベースは低地から静かにふくよかなうねりを加え、サウンドの立体感を増している。また、リズミカルなパーカッションがプリミティヴかつ民族的な響きを強めた印象も。加えて自在に飛び交う電子音が微細の変化、ミステリアスな浮遊感、ディープでダビーな音響処理が妙味を増し、あらゆる神経繊維に刺激を与えてくれる。そして、ずぶずぶと効く。ただ、やはり感情を介在させないストイックさが凄く、緊張感を持ったセッションにやられます。

 本作もメロディはなくミニマル主体という事もあって、かなり聴き手を問う内容。だが、才人たちの選び抜いた音と美意識で構築されゆく空間の深度は凄く、そのものがメッセージを持っているようにも思える。フリーキーに再構築し続ける「Structure 1からパーカッションが細かくパターンを変えながら少しずつ熱を持っていく「Structure 4」まで全60分、ひたすら浸り、体感し、静かに熱に身を引き締められるだけ。クラウトロックやジャズにプログレも踏まえながら、老練とミニマルを極めていくその姿勢には感服してしまう。そんな最先端のグルーヴ/音空間意匠の追及を惜しまない孤高の作品である。


Vertical Ascent

Vertical Ascent(2009)

   ミニマルダブやテクノのお偉いさん達によるスーパーユニットの1stアルバム。Pattern1~4まで全4曲44分に及ぶ静謐でディープな音の旅路は、このジャンルに丸っきり知識が無い俺をも吸い込んでいった。

 暗い、冷たい、深い。音から感じ取れるイメージで浮かぶのはまずその三語。彼等の音楽は、いわゆるミニマルテクノとかダブとか音響派といった類のもので、ポップとは1億光年ぐらいかけ離れたひどくストイックなもの。パーカッションが幾何学的に蠢き、シンセやエレクトロニスが繊細に揺らめいては飛び交い、アブストラクトに拡がっていく。そして、無数の音が錯綜しながら浮かんでは消え、また音の群れが浮かんでは消えの繰り返し。それが、どこまでも静謐で深遠な空間を作り上げている。とはいえミニマルながらもリズムや電子音が僅かな変化を伴いながら発展。静かだが迫力を感じ、余韻を徐々に蓄積していく所も独特に思える。その積み重ねが異様な心地よさへと繋がっている。音の細かな部分までも神経が行き届いたサウンドスケープは、すっきりと整理されている印象も受けるが、妙にサイケでグルーヴィ。手の届かないところまで刺激するかのような毒素もある。理知的でありミステリアスな表情すら見せ付ける。暗い地底を深く彷徨っているような感じながら、気付けば銀河まで弾き飛ばされているような浮遊感も不思議なものだ。時間軸と空間軸を見事なまでに統制し、細部に至るまでの音の拘りを見せつける、彼等の美学の結晶といえる作品だと思う。

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