MY WAY MY LOVE ‐‐Review‐‐

 1stフルアルバムの「JOY」がNME、KERRANG等で絶賛され、国内よりもむしろ海外での知名度の方が圧倒的に高い”ぶっ壊れたマイブラ”、”日本のソニックユース”の異名をとる3ピースロックバンド。グランジからシューゲイズまでを料理しているバンドの器用さが凄い。音を聞けば、海外にも拠点を構えている理由もよくわかるバンド。2008年に2nd「a HOLY LAND INVADER」を発表した。

レビュー作品

> I’ll Cure You With Electricity > a HOLY LAND INVADER


I’ll Cure You With Electricity

I’ll Cure You With Electricity (2009)

 ちょうど1年ぶりとなる3rdアルバム。耳が擦り切れるような鋭いノイズと歪みきった不協和音を操りながら、轟音絶壁を打ち立てる様が強烈だった前作。それと比べると、本作は一撃で仕留めるわけでもなく真綿で首を絞めるかのように、耳を徐々に徐々に痛めつける作品といえるだろうか。いや、アヴァンギャルドになったとでもいうべきか。殺気に満ちた衝動性とドライヴ感はだいぶ引っ込んでおり、イっちゃってる感やぶっとび具合が薄まっている印象を受けてしまう。ただその分、バンドが持つポピュラリティの部分をしっかりと花開かせており、ロマンティックな叙事性がノイズの中に強く根付いている。

 歌声の艶かしさにグルーヴィになった演奏、マジカルに操られるノイズ、それらが物凄い音圧を保ちながらも丸みのあるポップ感を抽出。妖しく不穏な空気を醸しながらも妙な優しさが伝わってくる作品となっている。このことからも表現力の柔軟性と奥深さはますます深まっているといえるだろう。とはいえ、そのメランコリーの表現の仕方にしてもどこか不適な笑みでも浮かべているかのようなクールさと棘があるように感じられるのがMWMLらしい。それもまた磨きぬかれた個性が十分に発揮された証拠だろう、実に挑戦的かつ刺激的である。変質的で野蛮な部分は随所に残しつつ、バンドの音楽的素養と多面性をユニークかつジャンクに合成したオルタナティヴ・サウンドはやはりかっこいいの一言。ある意味、アーティスティックな部分が最も発揮された作品といっていいかもしれない。なんにせよ、”狂いを助長する”作品なのは間違いない。


JOY

JOY(2008)

 2007年に発表した1st「JOY」より約1年で発表された2ndアルバム。

 グランジ、グラム、ポストロック、シューゲイズなどの要素をいとも簡単に取り入れてしまうサウンドの妙技。言ってしまえば轟音ノイズパンクとも表現できる音楽性。非常にアグレッシブな作品であるが、ポピュラーな部分とのバランスが絶妙。全てを破壊することで美徳を見出すような、破滅の美というタイプではない。破壊と美がそれぞれ共生・共存しているかのような音である。奥深くも艶かしくありながらも脈打つ激しいロックサウンド。この圧倒的な衝動に抗うのは誰しもが不可能であると思わせられるぐらいだ。”イッちゃってる音楽”、全ての伏線はここに繋がってくると思う。ジャンル分類不可能、そんなことをすること自体が無意味に思うほどリアルな衝動が詰まっている。

 爆音ノイズと狂ったような絶叫の乱れ打ちで感覚麻痺を起こすキラーチューン#1、ラウドパンクスで攻め立てる#2、暗鬱で不穏な陰世界に飲み込まれる#3、一転して甘いメロと浮遊感で快楽へと誘う#4と頭の4曲を聴いてみただけでも、情景が次々と移り変わるのがわかる。それでいて不思議な整合感、今作に収められた14曲は、どの曲もアルバムを創り上げるピースとして欠かせないほどだ。唯一、日本語が使われて風情を感じる#13ではこれまでを癒すような美しい桃源郷に連れて行かれることだろう。正直、日本の情緒といえるものは薄く、ほぼ英詩の海外仕様といってもいい内容だが、オリジナリティが凄い。荒々しくも優しい、絶望でもあり希望でもあり、冷たくもあり温かくもある。そんな相反するものが隣り合わせのように感じられる。多くの色を余す事無く使って描かれたアートのような作品であった。実はこの作品、B!誌でも取り上げられていたので驚きました(レビュアーは忘れたが、80点だった)。

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