none but air [at the vanishing point] ‐‐Review‐‐

2010年に結成された京都のオーケストラル・ハードコア5人組。インスト・バンドとして出発し、激情系ポストハードコアへと変化を遂げ、ポストロックやエレクトロニカを巻き込みながら、繊細かつ激しい音樂を生み出している。2013年はMilanku、2014年はthisquietarmyとTokyo Jupiter招聘の海外アーティストの関西公演を企画するなど、周辺バンドとの関わりも濃い。2015年3月に初の全国流通音源である、1st EP「s.t.」をリリースした。


none but air[at the vanishing point]

none but air [at the vanishing point](2015)

 keep it together/MEAT CUBE LABELからの共同リリースとなる、日本のハードコア・バンド5組を収録したスプリット作品にも参加した京都のオーケストラル・ハードコア5人組の待望の1st EP(全6曲入り)。驚きのfurther platonic recordsからのリリースで、500枚限定生産となっている。

 そのバンド名から”森博嗣 ハードコア”とも一部で呼ばれてそうだが(笑)、放出する過剰なエモーションと壮大な展開で聴く者を圧倒するnone but air。筆者も既にTokyo Jupiterさんによる海外招聘のツアーで2度ライヴを体験済みだ(Milanku、thisquietarmy)。元々はインスト・バンドとしてスタートし、激情系ハードコアへと変貌を遂げていった彼等だが、本作ではこれまでのデモ音源やスプリット作品の経験を活かし、重厚に進化している。レーベル・インフォにある「envyやheaven in her armsの影響系だろ?などと是非舐めてかかって欲しい」という言葉を返り討ちにするように。

 静から動へのポストロック的展開、ポエトリーリーディングと絶叫。その骨格に、エモ・バイオレンスばりの性急で鋭い畳み掛けがあり、プログラミングによるサウンド・トラックめいた演出が効いている。1曲目なのにこのタイトルかよとツッコミを入れたくなる#1「終幕」から風景は、破壊と再生を繰り返しながら輪郭と色を得ていく。その音像からはどちらかといえば、envyよりもheaven in her arms寄りに感じるのだが、それはアンダーグラウンド臭と中二病臭さからだろうか。RaeinやFuneral Dinerといったユーロ激情の風を吹かせながら、 world’s end girlfriendも自然と同居している感覚はなかなかに新鮮だ。

 デモ音源時よりも短くなっているものの、より重くエモーショナルに訴えかけるようになった#3「回想」と#5「閉鎖」は、彼等の代表曲といって差し支えないだろう。2分台にまとめたとはいえ、蒼いハードコア狂騒がスリリングすぎる#2「憧憬Ⅰ」#4「憧憬Ⅱ」もガツンとくる。 ハードコアの中で様々な音楽が鳴っている、しかしながら一番に言えることは、感情に訴えかける音楽であるということだ。その核であるヴォーカル・nisikaの叫びは切迫感に満ちた悲痛なもので、聴こえてくるたびに胸が詰まる。

 締めくくりの#6「六月、雨と相反する」は、ストリングスのアレンジを前面に出しながらドラマティックに仕上げた佳曲。進撃の巨人の戦闘シーンなんかに流れてても違和感ないかもしれない。デモ音源やスプリットへの参加、数多くのライヴという刺激を受け、地道に作り上げた本作には迷わず動かされる衝動が詰まっている。

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