Oathbreaker ‐‐Review‐‐

2008年に結成されたベルギーのポストハードコア/クラスト・バンド。女性Vo.Caroを中心に醸し出す独創的ムード、ハードコアを基本線にクラストやブラックメタルを取り入れたサウンドで世界と戦う。

レビュー作品

> Rheia > Eros | Anteros


RHEIA

Rheia(2016)

 約3年ぶりとなる3作目。ポストハードコア~~ブラッケンド~ネオクラストの拡大解釈へと向かっているような彼女たち。侘しさを漂わせる独唱の#1「10.56」、そこから雪崩込む#2「Second Son Of R.」の体重の乗った怒涛のラッシュで早くもKO寸前にまで持ち込まれます。しかしながら、本作においては曲単位ではもちろんなのですが、全10曲という作品全体を通しての大きな緩急・起伏で聴かせます。そして、Jack Shirleyのプロデュースによる絶妙なシューゲイズ・テイストの武装。さらにアコースティック・パートも上手く組み込まれており、サウンド面において変化を感じるところが随所にあります。

 バンド最大の武器といえるのが、おっかねえちゃんねーこと女性Vo.Caro Tangheの男勝り過ぎるスクリームの連続です。それが本作においては、女性の歌ものという側面を強化。艶めかしい歌唱やゴシックの要素を感じさせるなど、Chelsea Wolfe姐さんにも迫る表現を披露しています。そんな彼女の個が解放されて活きてきたことで、楽曲の幅広さにも説得力が伴っています。可変速自在の振り切れ具合で攻める#8「Where I Live」から、静動型ポストロックの壮大な曲調で聴かせる#9「Where I Leave」の流れは本当に見事。

 様々なアプローチを取り入れる。ゆえに多彩な曲調になる。それは当然のことですが、弊害として薄くなってしまう事もありえます。しかし、本作はいろんな要素のいいとこ取りに終わっておらず、ルーツを含めた自身の音楽性に対して上手く肉付けできてるからこそ、作品としての強固さというのを感じるのです。ノスタルジーを喚起する美しい静パートを挟みつつ、果て無き激情を胸にドラマティックな激走劇をみせる#5「Needles In Your Skin」には感情的にならざるを得ません。ここがまだ進化の過程であるとするならば末恐ろしいバンドです。


Eros Anteros

Eros | Anteros(2013)

 前作に引き続いてDeathwishからリリースとなった、ベルギーのポストハードコア/クラスト・バンドの2年ぶりとなる2ndアルバム。前作と同じくカート・バルーがプロデュース。姐さんヴォーカルのCaro Tangheは、Amenraのこちらのライヴ動画にて最後の方で叫んでいるお方だったりします。

 悲壮感に苛まれるようなダークなSEを抜けると、息つく暇もない猪突猛進の激音が耳に飛び込んできます。ソリッドで切れ味鋭いギター・リフと力強く激走するビート、そして女性とはまるで思えないほどに喚き散らす絶叫。ベースとなっているのはハードコアやクラストでしょう。後ろを振り返ることすら許さない強烈なサウンドは、けたたましいことこの上無い。序盤#2「No Rest for the Weary」でスイッチ入れてアグレッシヴ・モード、続く#3や#4でも勢いはますます加速します。

 さらにはブラックメタル風のトレモロやスラッジ/ドゥームな重厚さもその懐に収められています。女性らしい情緒も効果的に注入しており、#8「Agartha」におけるダークな詩情を孕んだ叙情的な静パートから、感情を一気に爆発させて轟音を見舞う点も良いですね。様々なジャンルを取り込みながら、美意識たっぷりに自身の音楽を表現。速さや激しさだけに頼りっぱなしで無い、緩急を生かした展開の妙もまた魅力的です。

 作品の大きなアクセントとなっているのが、約9分の#5や11分半にも及ぶラスト・トラック#10といった長尺曲。これらの曲は、同郷の大御所であるのAmenraのような荘重さを誇り、シリアスな情緒を交えながらゆっくりと奈落へと向かっていく。悲哀と退廃に満ちたこのムードには、精神を余計に掻き乱されます。全体的にもメロディを強化しながら、これからの快進撃に繋がっていくだろう作品といえそうです。

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