Oceansize ‐‐Review‐‐

UKマンチェスターのオルタナティヴ/ネオ・プログレ/ポストロックバンド。MUSEのような耽美~壮大なるロックからAnekdotenやPorcuipne Treeの鬱系プログレ、さらにはハードコアの要素にポストロック/シューゲイザーといったジャンルまでを幅広く懐に収めたサウンドで隠れた人気を誇る。Porcupine Treeからも前座を指名されるなど、ミュージシャン筋の評価も高い。

レビュー作品

> Self Preserved While the Bodies Float Up > Frames


Self Preserved While the Bodies Float Up

Self Preserved While the Bodies Float Up(2010)

   UKマンチェスターのオルタナ/ネオ・プログレバンド、オーシャンサイズの約3年ぶりとなる4thフルアルバム。玄人筋では非常に評価の高いバンドである。

 洗練の先を示した実に見事な一枚だと感じる。意表を突くかのようにスラッジの領域にまで達した激重のリフが轟く#1から始まり、彼等らしいプログレッシヴな構成から轟音ロックが花開く#2、マストドンを思わせるテクニカルなイントロからメロウかつ激しく物語を織り上げていく#3、と序盤はとにかくアグレッシヴな内容が続く。それは、バンドの個性をしっかりと示しつつ聴き手に猛攻をかけているかのようである。メタル/ハードコアを文脈とした破壊力にポストロックのカタルシスを交えた轟音のエネルギーは、肉体の内側から熱さをもたらしていくには十分だろう。

 しかしながら、天空に祈りを捧げるように綴られていく美しい#4からはガラっと雰囲気が一変。マイルドな歌声と繊細なバンド・アンサンブル、ストリングスやピアノのリリカルな響きが緻密なアレンジの元で幽玄なるハーモニーを奏でている。星空の輝きをそのまま投下したかのような煌びやかさと美しさを纏ったサウンドは、すっと染み入るように鼓膜から胸に伝っていく。その叙情に溢れたメロディや歌にはとてもまろやかな味わいがあり、深く深く心酔していく作用もある。シガー・ロスの神秘性やEITSの劇的なドラマ性を内包、またEfの壮麗さまでもを手中に収め、プログレッシヴな構成力のもとで安息の風景を描き出す。ゆえにポストロックの光に包まれている印象は強いが、彼等なりに虚無感や寂寥感といったダークな情緒を要所要所で浮き彫りにしていきながらの作業であるから、陶酔力は強い。

 #4と同様に本作の核となっている長尺曲#7は灯火のように揺れる情感が儚くも美しいし、ウェットな質感と哀愁が滑らかに表出していく#9、#10の流れもまた見事。聴き進めるごとに純化されていく壮大なる音絵巻は清らかともいうべき輝きを放っている。

 旧来のファンからすると、間口を広げるようなポストロック化が逆に突き放したというか、掴みどころがない個性として捉えられるかもしれない。だが、独特の静謐な世界に引きずり込まれる感覚は彼等ならではだと感じるし、聴後にはどっしりとこの世界の重みを感じさせてくれるのも凄みを物語っている。


Frames (Bonus Dvd)

Frames(2007)

   UKマンチェスターのオルタナ/ネオ・プログレバンドの3rdフルアルバム。前作ではシューゲイザーに寄り添ったアプローチもみせていたそうだが、クリス・シェルドンをプロデューサーに迎えた本作におけるたおやかで透明感のある、それでいてオルタナ/ヘヴィネスが貫きとおされた世界は確実に人を惹きつけそうだ。

 複雑に入り組んだ展開をものともしない卓越した技術からくり放たれる重厚なバンドサウンドが特徴ながら、マイルドかつエモーショナルな歌い回しで豊かな情感を与えるヴォーカル、それにストリングスやピアノを織り込みながら丹念に丹念に織り込まれている彼等の音楽はとても美しい。難解というほど細部にまで創りこまれていて、静動・緩急・陰陽が絶妙なバランス感を誇り、加えてポーキュパイン・トゥリーを髣髴とさせる繊細な詩情と大胆な攻撃力の共存を成している。6~10分台の楽曲で全8曲を構成しており、もちろん全曲が静と動の交歓を生かしながら複雑多彩な表情を見せていくのだが、慎重かつ丁寧に繋がっていて、聴き手の感情を見事なまでに掻っ攫っていく。

 プログレッシヴという言葉は付いて回るが、ドラマティックな展開美の方が表層を覆うのでメランコリックという印象がまず聴いてても浮かぶと思う。麗しい旋律が楽曲をリードし、マイク・ヴェナートの歌声が柔らかく叙事性を包んでいく事でリリカルな旨みが増す。その一方でオルタナティヴな攻撃性も示していて、大海を思わせる強靭なうねりが炸裂することもある。またポストロックの麗しさも往年のプログレバンドが持つ幽玄性や神秘性も宿した構造の美学は凄まじい。そして、地を深く深くえぐるような感覚も、天へ天へと昇っていくような感覚も、人間の内省へとひたすら迫る感覚をも持ち合わせている事に言葉を失う。極上の静と動の交歓が豊かに情感を湧きたてていく#3は本作随一の名曲であると思うし、淡々と織り上げていっているようで巨大な海底山脈が築かれていく10分越えの#6、妖しげなリフが暗闇の中で一閃して複雑かつユニークな展開をみせる#7も圧倒されるばかり。ジャンルをいとも簡単に横断する知的さと技術力を示すと同時に、巨大な質感を伴った世界に呑まれる驚愕の一枚である。

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