ネイト・ニュートン(Converge)、アーロン・ターナー(ex-ISIS、Mamiffer他)、ケイラブ・スコフィールド(Cave In)、サントス・モンターノ(Zozobra)という4人がタッグを組むボストンのハードコア・オールスター軍。
レビュー作品
> No > Christmas
No(2012)
ボストン・ハードコアのオールスター集団の約8年ぶりの復活作。エンジニアにConvergeのカート・バルー、マスタリングはジェイムズ・プロトキンという最強布陣で作り上げた、尖鋭的ハードコアの逸品に仕上がった。
各々のメンバーが持つ諸要素の融合から一歩進んだサウンドを追求してきたOMGだが、アンビエントやノイズ方面への欲求も見せながら、8年の経験値をもとにして進化を示している。アドレナリンが出まくる扇情性の高いハードコア、スラッジの重苦しいヘヴィネス、奇妙なエレクトロニクスの緻密な交配が生む凄まじい衝撃は以前の比ではない。3人が代わる代わるヴォーカルを取るこのスタイルからは、OMGらしい激しいエネルギーが十二分に伝わってくるし、スラッジ/ハードコアに根ざしながらもあるゆる方法やアイデアを用いて音のベクトルを多方面に広げていけるのは、彼等だからこそ。のたうつ重厚なスラッジ・リフと怒りの絶叫を振りかざす#2「Common Species」や#4「To Carry The Flame」はさすがとも言うべき出来であるし、ISIS信者は狂喜して拳を突き上げる#5「The Forking Path」という曲もある。過去作だと短尺な楽曲を並べて勢いで押してくる楽曲もあったが、本作ではそれを排除。かなり作りこまれた印象があり、最高傑作と言われてもおかしくない完成度であると個人的には思う。
激重スラッジからMerzbow系の神経が割れるノイズ地獄に様変わりする14分超えの最終曲#9「Shuddering Earth」という楽曲までやってのてしまったし、本作でヘヴィロック進化系の真髄を大いに見せつけたといえるだろう。期待を裏切らない力作である。
Christmas(2004)
初めての日本流通を果たした通算4枚目の作品である。基本は、重厚なリフと3人の獣の如き叫びをベースとして、ISIS、Converge、Cave Inという3バンドのインテリジェンスを集約させ、スラッジ/ハードコアから音響系や実験音楽にまで根を張る柔軟な音楽を展開する。#1「Gift」からバンドの持つ懐の深さが窺い知れ、アコースティックな旋律からスラッジ・メタルに一気に飛躍。最後には不気味なノイズ音で締めくくられる。やはり柔軟な感性を持つなあと、感心したのも束の間に切れ味鋭いハードコア#2を遠慮なく投下。そしたら続けては茫洋としたアンビエント、以降も彼等の探究心を作品を通して表現していく。研ぎ澄まされた感覚を働かせた全13曲は、ここに至るまでの3枚の作品を上手く集約しており、特にラストを飾る16分の長編#13が、天国的な美しさと地獄のようなヘヴィさの対比が織り成すドラマ性が感動的である。2012年に『No』が発表されるまで最高傑作とされたのも頷ける作品だ。
こちらは、現在のところは世界的に生産中止状態だが、日本ではDaymare Recordingsから2013年の来日に合わせて再発されている。国内盤はEP『Christmad eve I and II +6』全曲を収録したボーナス・ディスクを追加の2枚組なので、聴くのであればそちらをオススメしたい。
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