陰陽座 ‐‐Review‐‐

1999年から活動を続ける日本のメタル・バンド4人組。”妖怪ヘヴィメタル”を掲げるオンリーワンの存在として国内外でその名を知られている。


迦陵頻伽

迦陵頻伽(2016)

 妖怪ヘヴィメタルに身を捧げ続ける4人組の2年2ヶ月ぶりとなる13作目。聴くのは10枚目『鬼子母神』以来です。『迦陵頻伽(がりょうびんが)』とは、”この世のものとは思われない美しい姿と声を持つ半人半鳥の生物”のこと。それは陰陽座で言うならば、もちろんヴォーカルの黒猫さん。冒頭を飾るキャリア初の表題曲#1「迦陵頻伽」から細部は全体を説明するかの如しで、黒猫歌謡祭と呼べそうなぐらいに彼女の歌にフォーカスしています。

 また、いつも以上にピアノやキーボードの活躍が多くて、和のフレーズやシンフォニックな味付けが匠の技。さらに曲によっては初となる7弦ギター&5弦ベースを導入しており、様々な曲調・アプローチによって黒猫さんの表現力を最大限に引き出しています。リリック・ビデオが公開されている和風ハード&ポップチューン#4「刃」は、その流麗なサウンドの中に聖母のような優しさが滲み出す。他にも、4つ打ち歌謡からセクシーな歌いまわしで終える#6「轆轤首」、無敵の女忍者をモチーフにした疾走メロディック・メタル#8「氷河忍法帖」、ピアノ伴奏を中心とした上質なバラード#11「絡新婦」など。演歌でいう拳が効いたといえそうな力強さ(これは瞬火兄上にもいえますが)と美しさを併せ持つその歌声に魅了されっぱなしです。

 妖怪と手を取り合いながらオンリーワンのメタル街道を歩み続け、自身の作風を深化させてきましたが、本作はキャッチーさとメロディの充実によって一層コクが出てきたかなと感じます。入門編といえるほどに聴きやすくバランスがいい。デスヴォイスも交えた猛威のシンフォニック・メタル#3「熾天の隻翼」、重厚さとスピード感の両輪でぶっ叩く#5「廿弐匹目は毒蝮」、7弦採用で最もヘヴィな印象を残す「素戔嗚」といった攻撃的な曲にも抜かりなし。彼等なりにお約束を踏襲しながら、新たな試みと実験を施して自身の音楽性を拡張していってる姿勢にもまた敬服します。

 その中で特にインパクトがあったのは、#12「愛する者よ、死に候え」。バンドを一躍有名に押し上げた代表曲「甲賀忍法帖」との関連性を持った楽曲で、ドラマティックなストーリー展開、歌謡性抜群の男女ツインヴォーカルの情緒に心打たれます。何度も何度も聴きたくなる。近年の彼等のカタログの中で最上の1曲でしょう。

 ちなみに13枚目にして、オリコン最高位を更新する7位を記録。継続は力なりということ、そして彼等のファンベースが強固であることが伺えますね。瞬火兄上による全曲解説がこちら

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