Opeth ‐‐Review‐‐

スウェーデンのプログレッシヴ・デスメタルバンド。北欧の暗黒神とも呼ばれてたりする彼等のサウンドは邪悪なデスメタルの暴力性と、クリムゾン譲りの構築美学に長けた展開美を基盤に、、ジャンルを超越した見事なまでに吟味された音世界を追求している。


Watershed

Watershed(2008)

   前作より3年ぶりとなった9枚目のフルアルバム。本作でOpethという未開の領域に飛び込んでみたわけだが、このどこまでも深くどこまでも荘厳な世界には畏怖の念を抱かざるをえない。Opethだけが知りうる幽境な地へ連れて行かれてしまう。

 暗闇からのた打ち回る奇天烈な暴力性、デスメタルに由来した凶悪なヘヴィネスが主導権を握りながらも、プログレッシヴ・ロックの奥ゆかしさと叙情性を張り詰めた緊張感の中で絶妙に組み合わせて、神秘と邪悪が対峙する壮絶な音絵巻を描き出す。

 至る所で賞賛されるこのOpethの音楽性は相変わらず凄いの一言しかないのだが、前作と比べると本作は、70’sのプログレへの傾倒を強めて、まろやかなクリーンヴォイスや優美に綴られるアコースティックの音色を随分と増やしてきた模様。確かに聴いていて、柔らかく美しい旋律や歌の登場回数が多く、儚い感情と説得力を伴って耳に迫ってくる。70’sのサイケデリアもフォークもカントリーをも内包したことで暗澹とした中に滋味深い叙情を与えている印象だ。

 とはいえ、メロウかつ深遠な雰囲気の中で燃え上がる闇の炎も強烈だ。重厚で鋭角的なギターやブラストビートを繰り出すドラムにしても、彼等らしいダイナミックで力強さと凶悪さを伺わせ、鬼神のごときデスヴォイスと柔らかい響きを持ったクリーンヴォイスを操るミカエルは、当然のように凄まじい存在感を放っている。そういった中で本作の肝は振り切れた動パートと静パート、落差の激しい緩急によるコントラストにあるのかもしれない。また、静をより甘美に柔和に聴かせることで、曲から滲み出る幽玄な美しさや儚い哀愁ともの悲しさも引き立っている。幾つもの表情を持たせることで圧倒的な雄大さをも見せ付ける彼等の音世界は、やはり荘厳で味わい深い。

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