Peter Broderick ‐‐Review‐‐

ポストクラシカル・シーンを代表する若きアーティスト。White HinterlandやShe&Him作品ヘの参加でも知られる。また、同じくポストクラシカル系のアーティスト、Nils Frahmとの交流も盛んだ。


itstartshear.com

http://www.itstartshear.com(2012)

   ポストクラシカル・シーンの代表格といえる存在にまで上り詰めたPeter Broderickの新作。いくつものレーベルからフルアルバム、EP、デジタルリリース、コラボ作品を活発に発表しているので何枚目かはよくわからん。っが今回は08年の『Home』以来のはっきりとした唄ものになっているそうだ。プロデュースはNilf Frahmで、ピアノ他でも参加して盟友の作品を手助けしている。

 これがまた好内容で、ポストクラシカルからモダンなフォークを下地にピーターの滋味深い歌が届けられる。しっとりとしたピアノの旋律、幽玄なストリングスの調べに哀愁のアコギ、アップライト・ベースの丸みのある低音が加わり、穏やかに全てを包み込むようなサウンドが生まれていく。また、メロディカや鉄琴も用い、エレクトロニクスも効果的に楽曲の情緒を彩っている。そしてなんといってもピーター・ブローデリックの歌声が良く、優しさと渋さがブレンドされている感じで胸の奥底に染みわたっていく。女性コーラスと楽器陣と織り上げていく豊穣なハーモニーは絶品。切なく感傷的で、なんとも懐かしい温もりがある。細部への丁寧な気配りが冴えわたっていることも優美さに拍車をかけているように思う。

 繊細にして優美なポストクラシカルサウンドを下地に心温まる歌声が響く#1、さらにその流れを受けた穏やかで温かい#2、シンセベースの心地よいビートの上をこの作品のタイトルであるURLを軽やかに口ずさむ#4、より勇壮なメロディを軸に駆け足で突き進んでいき、パーカッションの躍動なども加えて圧倒的な昂揚感を生む#8など良曲ズラリ。豊かな曲調、メロディはBon Iver辺りにもひけをとっていないんじゃないかなと。特に個人的には#6「Coljn」を推したい。滋味深い歌とフォーキーな序盤から、シガーロス並に天上へ向かって開けていくスケールのある楽曲。ラストの優雅な美しさが素晴らしく、沁みる。ポストクラシカルとフォーキーな歌もの路線の融合という言葉では語り切れない、懐の深さとクオリティに納得させられる人は多いはず。

 ちなみに本作はタイトルのURL、http://www.itstartshear.com/ヘ飛ぶと、全曲フル試聴可。また歌詞や楽曲の解説などをチェックできる。彼のこの作品における心意気が十分に伝わることだろう。

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