People In The Box ‐‐Review‐‐

残響レコードに所属する福岡出身のスリーピースバンド。繊細で穏やか、優しいサウンドを主体としながらもどこか鬱蒼とした詩世界を融合させて、独特のクセをもったバンド。

レビュー作品

> Bird Hotel > frog queen


Bird Hotel

Bird Hotel(2008)

 リリースとしては約1年ぶりとなる唄ものポストロックバンドPeople In The Boxの6曲入2ndミニアルバム。春先にはベーシストの交代もあったそうだが、再生ボタンを押して流れてくるのはまぎれもなくピープルによる白昼夢。どことなくあどけない少年のような表情を持たせつつ、描かれる空想への落書きは前作同様に絵本のようなファンタジーが溢れている。

 透き通った声で魅了するヴォーカルと幻想を漂わせるメロディを軸に展開していくその様は基本的に変化なし。ただ、楽曲自体は変拍子や複雑な展開が増えており、奇抜さが増した印象がある。といってもこのポップで耳馴染みの良さがそれを強く感じさせない。所々で鋭く激しく押し迫る轟音が顔を出すが、それも静謐の中に組み込まれてしまっている感がある。全体を通して感じるのは深海のような穏やかさ。だからこそ耳から、静かに静かに心の奥底に染み渡っていくのだろう。寓話的な詩世界から鬱蒼とした感情を綴った詩まで様々な表現を駆使しながら、ここまで透明感のあるギターロックに昇華しているのは見事。精巧に打ち立てる独特の空間、際立つ唄の存在感は真摯な姿勢の賜物といってもいいだろう。

 複雑な展開と変拍子を織り交ぜたトリッキーな構成で鮮やかに彩られていく#1「完璧な庭」、静謐の中を流れる美メロが妙に懐かしく甘酸っぱい#3「レントゲン」、本作で一番アグレッシヴに轟音を打ち鳴らす#5「昏睡クラブ」など佳曲も揃っており、ポエトリーリーディングを導入した#6「ヨーロッパ」の文学ロックっぷりも味があっておもしろい。前作を気に入った人なら間違いなく買いな一枚でしょう。この心地よい夢想空間にずっと浸っていたいものだ。


frog queen

frog queen(2007)

 ミニアルバムから半年、福岡出身の3ピースバンドPeople In The Boxの1stフルアルバム。純真なサウンドが生み出すのはお伽話のような世界。真っ白で真っ直ぐでストレートに心を突く音楽をやっているバンドだ。一聴した感じ、キャッチーともとれるポップでカラフルなピースがちりばめられたサウンドが主体。残響レコード所属でありながら、かなりストレートなロックスタイルといえます。しかし、詩には陰鬱さが生む刺々しさがあるし、空間に優しく響くような澄み渡るキレイなVo、穏やかなサウンドに一種のスパイスを加える轟音フレーズなどがバンドの武器として挙げられる。この鬱蒼とした詩世界は死への衝動、無力感ってのを思わせる。だが表面上はポップで柔らかい膜で覆ったようなサウンドを展開しているためにその鬱蒼とした雰囲気が表面化せずに時折、顔を覗かせる程度に収めている。だからなのだろう、結局のところ彼等の生み出すサウンドは穏やかで優しいという結論に至る。それは水面上を走る波紋のような静謐さにも通ずる。そして、単純でありながらも深みを感じさせるのは見事。スリーピースでありながらも、現実のリアリティを追求したサウンドと現実と夢を歪ませたような世界観。特に今作では#2、#8がPeople In The Boxというバンドを物語っている佳曲。既にバントしてのオリジナリティを確立しており、寓話的ともいえる彼等の世界に魅了される

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