ROVO ‐‐Review‐‐

「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」との発案から勝井祐二と山本精一を中心に1996年に結成されたスペース・ロック・バンド。6人の生み出す幽玄な音の雪崩は精神と体に深く作用し、異次元へとトリップさせていく。人力トランスなどと呼ばれる彼等の音楽は多くの人々に親しまれており、多くのフォロワーを生んでいる。

レビュー作品

> PHASE > RAVO > NUOU > CONDOR > MON


PHASE

PHASE(2012)

 自身が主催するMDT FESTIVALが10周年、また専属VJとの別れなどの転換期を迎えたROVOの通算10枚目。しかしながら、宇宙を創造し続ける人力ダンス・ミュージック集団に抜かりなし。毎回毎回、安定したものを届けてくれる重鎮であるが、本作は突き抜けた印象を受けた。というのも静から動へゆっくりとカタルシスを得ていく手法が肝だった楽曲に、変化を感じるのが大きな理由。#1「BATIS」はそれこそROVOらしい美しい揺らぎとリズムが徐々に昂揚感を誘い、後半で爆発するものである。だが、銀河の疾走とも表現できそうな#3「D.D.E」でわかる通りに、いきなり最高潮の爆発を迎え、そのまま怒涛のテンションのまま宇宙を突っ切る曲を揃えてきた。優雅で高らかに響くエレキ・ヴァイオリンと強靭なビートを軸にどこまでもどこまでも連れて行く。この曲は、本作の発売前から既にライヴで披露されて、大きな反響を呼んでいたが(実際に自分も2012年6月に体験済み)、改めてスタジオ音源として聴いてもその迫力に圧倒される。また、ラストを飾るインプロ風の#5「REZO」は驚くほどに抑制の効いた22分で、これまでとまるで違った味わい。ゆるやかに極彩色の虹を描くかのようなラストにただただうっとりしてしまう。”この時代を生き抜くための力強さとポジティヴなメッセージに満ちた1枚”と表現するのも頷ける、個人的には近年で一番お気に入りの作品です。


RAVO

Ravo(2010)

   ライヴで鍛えに鍛えた楽曲で固められた9作目。もはや地球から宇宙へと心も体も解放していく人力ダンス・ロックとしての存在感は今さら言うまでもないだろう。ここにきて研ぎ澄まされた感覚が生きており、ギターの虹色のような泣き具合、リズムの多様性と強靭さ、その反復からもたらされる至福の昂揚感に支配される。全5曲10分オーヴァーながら、天へ天へと確実に昇り続けるこの展開と壮大さは、やっぱり他のバンドに真似できるレベルではない。エネルギーを徐々に蓄え、最後に爆発するという構成をどの曲でも取っているが、それぞれの曲のカラーが違うというのは、流石である。そのなかでも、#2「ECLIPSE」が本作では白眉。また、ラスト#5の「SINO +」は、「SINO+DUB」としてライヴでよく演奏されている。出すごとに人々を確実に踊らされる彼等は頼もしいと改めて思った次第だ。それにしてもバンド名にも似た「RAVO」というタイトルは、それだけ自信作だったということか。


NUOU

NUOU(2008)

 2006年10月に発売した1曲55分の一大スペクタクル「CONDOR」より、1年半のときを経て完成した8thアルバム。オリジナルメンバーによる6人編成に戻ってからの2枚目にあたる作品だ。

 エレクトリック・ヴァイオリンが極彩色に光る鮮やかな閃光を放てば、ツインドラム・パーカッションの乱れ打ちが狂瀾怒涛のリズムの波を打ち立てる。それらが有機的に結びついて生まれる脅威のカオティック・グルーヴが異次元カタルシスへとお導き。それはまさに意識の深淵を巻き込む永劫回帰の渦。6人の男達がプログレッシヴに紡ぎだす人力トランス・無限ループは天空と地上を結び、宇宙への漸近線を描く。体内をグルグル、血管をグルグル、脳内をグルグルとのたうち回ったあとに心の中へと入り込み、音の結晶は不思議な情念を駆り立てる。精神世界に強烈なシンボルを打ち立てるカオスは凄まじいぐらいに強烈。完璧な宇宙空間に放流された音は、自由に蠢いてやがては星となって瞬く。5曲64分の壮大なコスモ・ダンス・ミュージックは無限に鼓動を昂ぶらせる。


CONDOR

CONDOR(2006)

 2004年に発表した「MON」より2年ぶりとなる7thアルバム。

 1. AIRES 2. n’POPO 3. LANDという3パートで構成された1曲55分の壮大なスペクタクル絵巻が本作の「CONDOR」の全貌だ。大地を飛び出して、天空へ。天空から宇宙へ。宇宙から銀河系の果てへと確実に邁進する音の潮流は、リスナーを確実に覚醒へと促す。#1、#2は共にヒナを温めているかのようにじっくりと丹念に音を紡ぎあげ、ゆらゆらと蠢いて結びついていく。それは雄大なサウンドスケープを創り上げる基盤、大地と宇宙を繋げる道。そして、いよいよ#3でコンドルはその道を辿り、広大な宇宙へと力強く羽ばたいていく。華麗なるヴァイオリン、緩急自在のツインドラム、それに美しく抑揚をつけるギターとベース。6人の音が流麗に重なり溶け合ったサウンドはとてつもない昂揚感を生み出している。そのリフレインによって恍惚としていくのも当然のこと。特にラスト10分過ぎてからの飛翔するようなリズム、ループの嵐には知らぬ間に意識が引き込まれていくだろう。そして、怒涛のようなクライマックスで無限なる宇宙へと意識を大解放する。まさにこれこそがカタルシス、それまでの長い道のりもクライマックスに訪れる大きな感動と興奮のために存在している。こりゃあ凄い!!是非とも生で体感したい!と強く思わせてくれる秀作である。


MON

MON(2004)

 七人編成最後となった6thアルバム。

 これほど自由な音楽、そして人々の想像力を超えたものがあるだろうか?Rovoの作品を聴くといつもそういう気持ちが湧き上がる。宇宙空間を切り開いていくヴァイオリンの旋律に引っ張られてギターやシンセ、キーボードが自由に七色の光を撒き散らしては、ツインドラムが体を悠々と持ち上げていく。目を瞑って聴いていると、気分は上昇・体も上昇で本当に自分が浮いているような感覚を覚える。じわじわと意識を侵食するようなトライバル風のビートを軸に、各パートが有機的に結びついて一つの大きな幾何学的グルーヴを生み出していくその様はやはり圧巻だ。特に#1、#3、#6辺りを聴いていると彼等の音とこちらの意識がシンクロしていって、なにか果てしないものに巻き込まれてしまう。各パートが音を意図的に集散させる様は巧みだし、グチャグチャに混じったように感じられるけど、美しく響くハーモニーも絶品である。超浮遊体験とでも表現するべきか、彼等の音楽は。どこまで我々を翔ばせば気が済むのか? もう言葉では説明がつかない快楽。この音楽の先にあるのはとんでもないくらいの昂揚感であり、遥か彼方の宇宙空間である。体でぜひとも感じて欲しいものだ。

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