Saxon Shore ‐‐Review‐‐

マシュー・ドーティーを中心に結成されたペンシルヴァニア出身の4人組インストゥルメンタル・バンド。


イット・ダズント・マター

It Doesn’t Matter(2009)

   アメリカ・ペンシルベニアのインスト・ポストロック5人組の4年ぶりとなる4作目。「幽玄で美しい静寂を経て、壮麗な轟音が炸裂する」という愚直なまでに芯の通った王道ポストロックを持ち味としているというのが最初に浮かんだ印象だ。

 しかしながら、彼等の音が成す美しさというのは数多いるバンドの中でも群を抜いて磨き抜かれている。GYBE!やMOGWAIといった先人たちによるポストロックの雛形を継承しているものの、純度の高いクリアな音色で心を鷲づかみにする美麗なサウンドスケープが特徴なのだ。あくまで轟音がさらす荒涼感は控えめで、静寂による引きの部分に美学を感じさせるつくり。センチメンタルな感傷を掻き立てるキーボードや独特の透明感を持つギターが、これ以上無いぐらいに楽曲の風景に光を灯している。そこに対照的なぐらいにラウドで硬質なドラムが曲の輪郭をタイトに支え、互いを引き立てている印象。加えて、甘美な切なさをメインに据える物語は、蒼白い轟音によってさらに濃く演出されている。また、デイヴ・フリッドマンを迎えてソリッドな音の強度を保っているのだが、どこまでも透き通るような透明感を湛えた作風が貫かれており、ドラマティックな叙情性が耳を引く内容だ。それほど構成の美しさは半端ではないし、程よいポップネスも携えている。

 エレガントなピアノの旋律が胸打つ#2、女性Voと共にまどろむような幻想に誘う#4、涙腺を刺激する切ないメロディを主体とした静寂とゆっくりと高みに登り詰めていくような壮麗な轟音の板挟みにあう#8など、バンドの確かなポテンシャルを感じ取れる曲が揃っていて、じっくりと耳を傾けることのできる内容だと思う。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でGrumble Monsterをフォローしよう!

スポンサーリンク


▼ フォローする