Scion ‐‐Review‐‐

ベルリンのテクノ・シーンの総本山的レコード・ショップ、Hard Waxの中心的メンバーPete Kuschnereit aka SubstanceとRene Lowe aka Vaniqueurによるユニット。


Arrange and Process Basic Channel Tracks(輸入盤)

Arrange And Process Basic Channel Tracks(2002)

    ベルリンを拠点に、90年代初頭から世界のテクノシーンを引っ張ってきたレーベル、TRESORのカタログ200番として制作された記念碑的作品。Basic Channelの音源をScion(Pete Kuschnereit aka SubstanceとRene Lowe aka Vaniqueurの二人組)がAbleton Liveを使用して再構築した至高のミックスCDである。

 幻想的な濃霧に包まれたかのようなアブストラクトなうわものに、ずんずんと大地を揺らすキックがリズミカルに打ち込まれ、聴き手の快度を徐々に徐々に上げていくミニマル・テクノが本作の特徴で、非常に昂揚感溢れる仕上がり。元々、ベーシック・チャンネルの曲はダブ要素が強いということだが、それを生かしつつも叙事的なメロディを散りばめ、ハード・ミニマルへと意識を向けたかのような力強いビートで煽り、ディープでくぐもった音像に有機的な刺激を加えて再構築させている印象(原曲は知らないけども)。浮かんでは消え、浮かんでは消えと名曲のフレーズを継ぎ接ぎしながらできるあがる白と灰色のグラデーションのような色素の淡い世界からは、抑性の効いた静かな味わいがある。

 さらには、リズムの細かい変化やうわものの変相などミニマルでありながらも次々と送り込まれる新しい刺激が、55分間ノンストップで続く上昇アプローチを支えている。これにはベーシック・チャンネルへのリスペクトを含みつつも、作り手の懐の深さや職人肌ともいえる冴えわたった感覚が伝わってくる。海底の中で揺らめくような感覚から、雲を突き抜けて天空を泳いでいるかのようなふわふわとした心地よさをすっと意識に染み込ませながらも、本能的な揺れを呼ぶこのハードなサウンドの昂揚感は半端ではない。一部で金字塔と評される理由も聴けば納得の素晴らしい作品である。

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