Sed Non Satiata ‐‐Review‐‐

2003年結成のフランス激情ハードコア・バンド。Daitroと双璧を成すぐらいにフレンチ激情シーンの最重要バンドのひとつである。

レビュー作品

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mappo

Mappo(2013)

 前作から実に4年ぶりとなるフルアルバム。スプリットをリリースする仲であるDaitroと双璧を成すぐらい、フレンチ激情シーンの最重要バンドのひとつだが、本作も全く期待を裏切らない出来栄えだ。ミドルテンポを中心に静と動を行き来し、あまりにも感情的に放たれる音塊に心を動かされる。重厚なリズムが屋台骨を担い、哀愁のアルペジオと怒号の咆哮が炸裂する#1「Extrospection」や#2「Sehnsucht」からして実にSed Non Satiataらしい。作風からしても前作の延長線上にあるのは間違いないが、自らの音楽性をさらにストイックに突き詰め、着実に階段を昇って凄みを増している印象。曲自体はそんなに長くないながらも、彼等の特徴であるドラマティックさが存分に発揮されており、鮮明なコントラストとなって表れている。また、所々で叫んでいるとはいえ、インディ~オルタナ系っぽい感触のある#3「San Andrea」や#5「Entropia」で新しい風を吹かせ、#4「Ghost」ではちょっとPromise Ringを思わせてくれたり。それでも思慮深い表情を見せ、哀愁を漂わせる中で、ハードコアの熱い芯が感じられる点が彼等の良さ。なかでもノスタルジックな旋律と柔らかなクリーン・ヴォイスに乗せ、後半で一気に爆発する展開で胸を打つ#8「Soma」は、これまでの楽曲でも最もドラマティックな佳曲だろう。フレンチ激情HCシーンの最前線で戦うバンドだけある力作。


SED NON SATIATA(セドノンサティアタ)

Sed Non Satiata(2009)

   フランスの激情エモーティヴHCバンドの2ndアルバム。同じくフレンチ激情界を牽引するDaitroとのスプリット以来の音源となる。タイトなリズムを軸にして哀切のアルペジオを重ねながら、やがては激情渦に巻き込んでいくような轟音ギターと自らの生命を燃やすような叫びが入る。ミドルテンポの曲を中心に静パートでグッとタメ、動パートで壮大なスケール感に拍車をかけていくスタイル。心の内に直接訴えかけるような感情的な楽曲を揃え、心身を熱くしてくれている。ちなみに前作でもこのような作風だったらしく、本作で順当に深化してきたといっていいだろう。Daitro的な激情性は確かに感じ取れるが、近年のenvyや同郷でいうとGantzが近い存在といえる。どこか冷たく、悲壮な暗闇の底を覗くような瞬間もあるからheaven in her armsがよぎることも。

 ただ、ピアノやストリングスだけに限らず、#1で女性コーラスも交えてるのは意外だったが、#2のように美麗なアルペジオから、あらゆる感情を昇華していくように激しいサウンドが掻き鳴らされた瞬間のカタルシスときたらこの手のファンにはたまらないだろう。B面にあたる#4では優しさをもたらすようなアコースティック・ナンバーを披露し、#5では轟音系ポストロックに通じそうなドラマティシズムを発揮。全体を通しても5曲33分でひとつの世界観を描ききる事に成功しているし、それをしっかりと聴かせるだけの力がある。勢いだけでは決してない、細部にまでこだわって構築された本作は完成度が違う。

 ちなみに本作はアナログだけしか出てなかったと思うが、この度、ディスクユニオンから500枚限定で帯・ライナー付きでCD化。ライナーはフレンチ激情シーンと密接な関わりを持っているheaven in her armsのKent氏が担当し、彼だからこそのエピソードを添えながら解説してくれている。

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