【アルバム紹介】Solip、重厚なシューゲイズ

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Lack(2015)

 アメリカ・オークランド州の4人組による6曲入りの1stフルアルバム。ハードコア通過型の重厚なシューゲイザー路線というのをWhirrやNothingが開拓したのが記憶に新しいところだけれど、このバンドはその系譜に続く存在でしょう。ミックス&マスタリングにJack Shirley(Deafheavenなどを手がける)を連れてきて、奥行きのある音像を構築。

 シューゲの偉人達の教養を得つつも、どちらかといえば「Nothingに続け!」を合言葉にした形のダークで重量感のあるシューゲイズが、暗美幻想の中へ。聴いてて思うのが、靄がかかったオルタナ/ハードコアみたいな感触が強いこと。その点でいえば、#1「Take」や#4「No Paradise」辺りのライヴの勢いを封じ込めたようなダイナミズムがなかなかのもの。

 常に日陰にいる感じの白と黒のグラデーションっぽいトーンであり、ドリーム・ポップなんて言葉がまるで似合わないのも彼等の色(苦笑)。さらには、折り重なる分厚いギターにパワフルなリズムが重なる中で、枯れた哀愁が挟まれる#2「Impermanence」の迫力と心地よさ、ラストの#6「Deep River」が8分半に渡り、一段と深い霧の中にいるような感覚をもたらすのも良い。

お読みいただきありがとうございました!
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