Sometree ‐‐Review‐‐

1997年からドイツで10数年にもわたって活動を続けるエモーショナル・ロック・バンド。現在までに5枚のアルバムをリリースしており、ここ日本でも2010年末に来日公演を行っている。

レビュー作品

> Bending the Willow > Moleskine


Bending The Willow

Bending the Willow(2006)

   約2年ぶりとなった4thフルアルバム。まるで隙のない詩情に彩られた作品である。前作での”静”を研ぎ澄ませた作風はそのままに、憂いを帯びた美しさに拍車がかかった。ホーン・アレンジやストリングス、シンセ、ピアノが前作以上に幅を利かせており、一部の楽曲では小規模なオーケストラのような華美荘厳なイメージさえ浮かぶ。Sunny Day Real Estate等を思わせる繊細なヴォーカルは、タイトル・トラック#3に代表されるような力強いエモーショナルな歌唱を変わらずに披露している。また、心洗われるような歌と演奏のハーモニーは、やはり何事にも変え難いバンドの強み。ピアノやホーン等も交えた豊穣なサウンドに情熱を湛えたヴォーカルが理想的に混じり合う#1「Whatever Makes You Sleep」で琴線を鷲掴み、前述したようにあまりにも優雅で力強い#3「Bending the Willow」、繊細なピアノと艶やかなホーンが柔らかな光を紡ぎ、情緒的なヴォーカルが交じり合うことで胸を打つ#5「Seraph」、本作随一の昂揚感が全身を駆け抜ける#7「Soft Remarks」、アヴァンギャルドな序盤の脅しからなめらかに包み込んでいく#9「Fsdp-1」と良曲は本作でもずらりと並ぶ。前作からの流れを汲み、確かな前進を見せる一枚かと思います。


Moleskine

Moleskine(2004)

   ドイツのエモ・バンドの3rdアルバム。ジャケットの顔面ドアップとは裏腹に、なんたる壮麗なる轟音の賛美歌だろうかと、聴いたときに昂揚した。美しいメロディのリフレインからじわじわと高みへと登り続け、振りかざし炸裂する轟音が魂を浄化。モグワイやenvyにも比肩するそのサウンドの迫力に大いに驚かされた。

 スタイルとしては、エモよりもポストロック的なサウンドスケープに落とし込まれている印象である。ギターのクリーン・フレーズの多用と空間的な広がり、そして静の部分に重きを置いて研ぎ澄まされたメロディが鳴り響く。そのうえで、(感情・演奏を含めた)力強い表現力とエモーショナルが作品を支えている。なかでも繊細で艶のあるヴォーカリゼーション、ここぞで感情を爆発させるように声を荒げた叫びがとてもいい。冒頭を飾る#1「Pulse」からそうだが、エモーショナルな歌と演奏による劇的な一瞬と豊かな起伏をつくりだす。さらには、Sunny Day Real Estateっぽいエモの特性やRadiohead辺りにも通ずる憂いが添えられており、#9「Elephants」のようにトランペットを用いた都会の夜の薫りを漂わせるムーディーな曲も完備。なかでも本作は、センチメンタルな静から嵐のような轟音と熱気を孕んだ叫びが胸を震わせる#4「Satellitelines」が素晴らしい。静と動が紡ぐ確固たる世界は、何よりも力強く、独自のエモーショナルが渦巻いている。彼らが残した傑作のひとつ。

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