Scraps of Tape ‐‐Review‐‐

スウェーデンが生んだ轟音ポストロック・カルテット。2007年に残響レコードより発売された2ndアルバムの「THIS IS A COPY IS THIS A COPY」がなかなかに好評を博し、同年6月には初の来日公演も成功させている。

レビュー作品

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Grand Letdown

Grand Letdown(2009)

   スウェーデンのポストロック・カルテット、Scraps of Tapeの2年ぶりの3rdアルバム。うむ、これまた随分とモデルチェンジを図ったものだ、とその印象がまず鮮明に脳裏に焼きつく。ポストロックらしい情緒溢れるサウンドが土台であることに変わりはなし。だが、インスト主体だったこれまでから(前作にも数曲でVo入りはあったが)、少々エモくて物憂げな歌声をほぼ全曲で導入することで、スタイリッシュに統制された美麗な音像にローファイな響きがもたらされている。その結果、聴きやすさは大きく増し、間口も随分と広げている。歌ものポストロックというより、もうインディ・ポップと評してもいいぐらいの新たな魅力が次ぎ込まれているのだ。

 それに各パーツにしても音の隅々まで磨き抜かれているのがよくわかる内容。哀切に響くアルペジオに美しいメロディが降り注ぎ、グロッケンやピアノの調べが優しく寄り添い合う静謐な音色は、キメ細かな叙情性が前作以上に引き出されていて、軽々と耳を奪いさり、強く胸を打つ。前作では空気を震わせるほどの熱をもたらす轟音の調べに一番の歓喜を覚えたものだけど、本作では轟音に決して頼るわけではなく、あくまで効果的に挟むことでセンチメンタルな感傷の中での鮮明な昂ぶりへと繋げている。穏やかに流れる川のように抑制の効いた構成、それが本当に美しい。全編を覆っているどことない北欧の冷たさや暗さ、底でたゆたう哀愁も魅力的。峻厳な雰囲気を漂わせるモノクロのジャケは、本作の表情を見事に表していると思う。個人的にはビターな叙情の味わいとダークな質感が実に胸に響いた一枚だった。


This Is A Copy Is This A Copy

THIS IS A COPY IS THIS A COPY(2007)

   “美しくも儚い旋律と轟音の荒波が悲壮感漂う白銀の世界を彩る”

 スウェーデン発の轟音インストロックバンドによる2ndアルバムで日本盤は御馴染みの残響レコードより発売されている。耳を脅かす轟音によって生み出される強靭な烈風#1で空気を震わせ切り裂いたかと思うと、#2では天使のヴェールで優しく包み込まれていく感覚を味わう。そして#3は何とヴォーカル入りの物憂げで儚い世界が創り上げられ、目の前が揺らぐ。静謐と騒擾という間を行き交うポストロックバンドが多い中Scraps of Tapeは既存形態では収まらず、より踏み込んだ自由な表現を武器にしている。バンドサウンドのみならず、物憂げなストリングスの調べや鮮やかなトランペット、さらには数曲でヴォーカルを採用するなど、情感をさらに豊かにする工夫と心憎い演出がまた刺激的な煌きを放つ。

 とはいったものの静かに流れ行く時間と暴力的なまでの喧騒の時間が衝突し、激しく有機的に結びついて抽出されるエモーショナルな音像が一番の武器であることに変わりは無い。そしてドラマティックに描かれる原色の風景はとても美しく、鮮やかに焼きつくのである。烈しく壮絶なストーリーが恍惚の世界へと誘うラストトラック「Why Marcus Oh Why」は強く胸を打ち、感動の渦に飲み込まれるので特に本作でも抜きん出た完成度を誇る1曲。全体的にもISISやenvy好きにという口説き文句通りにアピールできる強烈な作品に仕上がっている。

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