Steve Hauschildt ‐‐Review‐‐

元Emeraldsのシンセサイザー奏者によるソロ・ワークス。

レビュー作品

> Sequitur > Tragedy & Geometry


Sequitur

Sequitur(2012)

   Emeraldsのシンセ奏者の約1年ぶりとなる2作目。本体のEmeraldsもほぼ同時に新作『Just To Feel Anything』をリリースした中でのソロ作の発表である。音楽的には大きな変化はない。アナログシンセやドラムマシーンを基調に、美しい星空やオーロラが広がっていくようなアンビエント~シンセポップである。AshraやClusterを思わせながらも、そのキラキラと有機的な響きが演出するコズミックな空間は、ただただ気持ちイイ。また、実験的でありがらも絶妙なポップのさじ加減は流石だ。エメラルズの中では、地味と言われる彼だけど(苦笑)、このバランス感覚が大変いいなと思う。クラフトワークのようなロボット・ヴォイスを用いた(自分で歌っているらしい)#3「Constant Remainds」の新鮮さ、また約20種類の楽器が用いられてるとのことで、全体に一本芯を通しながらの変化のつけ方も巧み。冒頭を飾る清涼感にも溢れたシンセポップ#1「Interconnected」を始め、どちらかといえばエメラルズ寄りの感性が発揮された#4「Sequitur」キラキラとした音色を重ねてカラフルな空間が広がる#6「Vegas Mode」など、本作も催眠的な心地よさに浸れる仕上がりだ。


Tragedy & Geometry

Tragedy & Geometry(2011

   Mark McGuire、John ElliottのMistに続いてのリリースとなるEmeraldsの最後の砦、Steve Hauschildt(スティーヴ・ハウシルト)のソロ作品。3人のなかでは彼がリリース量が最も少なくて、本作品も久々になるとのことだがあのkrankyより発売となった。タイトルの「Tragedy & Geometry」はギリシャ神話に出てくる女神たちの名前から参照されている。

 もちろん本家のEmeraldsで聴かせるクラウトロック~ミニマル音響~エクスペリメンタルな音楽道から大きく逸れるわけではない。しかしながら、彼らしい美学に基づいた洗練がなされている。主導権を握る優しく波打つようなシンセの音の反復、そして寄りそうように重なる柔らかなギターによるパノラマは、それだけで魅了される人もいるだろう。アンビエントな穏やかさ、そして近未来の煌びやさを彩りながらコズミックな音世界を造形。やはり、こちらもAshra~マニュエル・ゲッチング辺りを髣髴とさせる。しかしながら3人の賢者によるEmeraldsの時よりもバランス良くポップに落とし込まれているので、大変聴き心地が良い。緩やかなグルーヴが包み込む中でスペーシーに拡がり、チルアウトしていける。白眉なのが#7「Music For A Moire’ Pattern」で、さながら11分に凝縮された『E2-E4』のような美しい情景と昂揚を聴き手に投げかける。また、冴えるハンマービートの中でシンセが明滅する#2、煌びやかなエレクトロニクスの海が拡がる#8や#12、アンビエント~ニューエイジ風に包みこむ#9と様々な角度から電子音使いの巧者振りを発揮。うたた寝できるほどの安らかさを誇り、それに程よい煌きが絶妙で、小刻みな反復と共に催眠的な心地よさを誘う。Emeraldsのファンならずとも必聴といいたくなる良作。

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