ストレイテナー ‐‐Review‐‐

1998年に結成された4人組ロックバンド。2008年まではトリオ編成で活躍し、高い支持を受けていたのは周知の通りだが、20008年10月より4人組となり新たなスタートを切っている。2009年に発表した5thフルアルバム「Nexus」、翌年発表の「CREATURES」はメンバー増員の成功を確かに証明した作品となっている。

レビュー作品

> CREATURES > NEXUS


CREATURES

CREATURES(2010)

 4人体制となってからは2枚目、通算では6枚目となるフルアルバム。前作からギタリスト・大山純が加入したことで好奇心と実験精神が増し、ツインギターによる音数の増加にとどまらず、キーボードやシンセを積極的に導入するに至っている彼等だが、本作でもバンドの音楽性は拡大&掘り下げ。エモ~UKロック~オルタナ~ポストロックといったジャンルを凝縮させたスタイリッシュなロックに磨きがかかっている。

 シンセやピアノをより効果的に使用し、メロディラインをさらに洗練。初期らしいエモさは控えめにしつつ、ポストロックもエレクトロニカもタフな演奏に交えて惜しみなく披露しており、何気なくシンプルなようで一癖も二癖もある楽曲を揃えている。前作『Nexus』は幅を広げながらも4人となったことでの初期衝動が感じられたものだが、本作『CREATURES』は繊細な静の部分の魅力を突き詰めているといえようか。それでいて、音には厳かな迫力や力強さ、メッセージが確かに宿っている。オアシスを思わせるバリバリのUKロックでの幕開け#1にはちょっと笑ってしまったのだが、繊細なメロウネスが全編にわたって冴える#3″CLONE”~#4″Tonelss Twilight”の美しい流れは本作の白眉といえるし、心の曇天模様をそのまま切なく綴った#7″Dark Blue Day”も涙を誘う。

 他にも、シンプルなロックチューン#2、アコギの繊細な音色と憂いを含んだ雰囲気を4つ打ちの強調で鮮やかに世界を転換させる先行シングル#6、妖しげなうねりをモダンに聴かせる#8、スラップが冴える#9、初期のキレと情熱で突っ走る#12といった曲まで揃えて節操ないバラエティさ。アルバム全体でしっかりと起伏をなぞっている様で、雑食になりすぎたといった印象もあるのだが、個人的には本作における彼等の好奇心は十分に楽しめるものだった。


Nexus

NEXUS(2009)

 ギタリストに大山純(ex-ART-SCHOOL)が加入し、4人体制となって新たに再スタートを切った5thフルアルバム。今更ながら本作でストレイテナーを初めて聴いたが、これは意外にも好みかもしれない。コンビニでバイトしてたときに有線でテナーの曲を聴いてたとき(Melodic Stormだったと思うが)はエモーショナル・ロックの類だなという感想だった。けれども本作を聴いた感じではその辺りを拠り所にしながらも、多ジャンルを掻い摘んで血肉としている印象が強く残る。

 ストレートなロックサウンドと歯切れの良いリズムで昂揚感を掻き立てる#2「Little Miss Weekend」、#10「ネクサス」で一気にもっていってくれるのがテナーの醍醐味だろう。ダイレクトな衝動を浴びせ続ける。けれども、アルペジオを巧みに操って奥行きのあるメロディを空間に広げていくのが印象的な#1「クラッシュ」ではエモを下地にポストロックを交えて激しくも切ない瞬間を刻み、先行シングル#4「Lightning」では荘厳なキーボードの音色を響かせてHelios辺りを思わせるエレクトロニカなアプローチで儚くイノセントな時間を紡ぎ、独特のオルタナサウンドを掻き均す#5「Magic Blue Man」、ピアノも交えた劇的なアンサンブルで展開される#6「蝶の夢」なども披露し、バンドとしての懐の深さを見せつけている。小洒落たヴァリエーションと繊細な押し引きをうまく繰り返しつつも激性を所々で発揮しており、ロックらしい牙の剥き具合もなかなか。変に意識することなくすっと耳に入ってくるメロディもよく(この辺はポップになったとの批判もあるようだが)、ポップなテイストが随所に生かされている。狡猾とも表現できそうな凝り具合ながら、聴きやすさを残しているのが最大の特徴か。スタイリッシュなロックとしてまとめ上げているのもなかなかに興味を惹かれる。単なるエモにとどまらずに進化を続けようという姿勢も含めて好印象を抱いた作品だった。

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