Submotion Orchestra ‐‐Review‐‐

2009年にRuckspin名義で活躍するDon Howardを中心にリーズにて母体となるバンドが結成され、その後に数々のミュージシャンを巻き込んでのプロジェクト。ダウンテンポ~ポストダブステップを通過したサウンドで、2011年にデビュー作『Finest Hour』を発表した。


ファイネスト・アワー [ボーナス・トラック付き]

Finest Hour(2011)

   “女性版ジェームス・ブレイク??!! ネクスト・マッシヴ・アタック?!”なる賛辞も受けた英国の7人組のデビュー作。歌の力を感じる作品である。そして、様々な音が共鳴している作品でもある。

 ゆったりとしたダウンテンポに乗せて、ビリっと震えるような重低音にダビーな音響意匠を施してリスナーを眩惑。かと思えば、流麗なピアノが差し挟まれ、柔らか電子音が耳触りの良さや浮遊感を演出する。ストリングスやホーンの挟み方も堂に入っており、サントラ~ラウンジなテイストまでが伴う。そしてジャズやソウルを通過してきた確かな構成力とグルーヴ。表面上はポスト・ダブステップ~ウィッチハウスにも迫るクールで陰った音の空間性を持つものだが、もっとオーガニックな温かみや多彩な色を感じられるのは、そういった様々な要素が巧みに足し引きされている影響が大きいように思う。繊細なバランスをキープしながら夜の闇をネオンの灯りで美しくデザインしていく、そんなイメージが浮かんでくる。そして、なんといっても女性ヴォーカルのルビーの柔らかく深い響きの歌声。これをトラックに乗せて折り重なる美しさときたらもう。ジェイムス・ブレイク並に感電する人は間違いなくいるだろう。

 特に先行シングルとなった#5「All Yours」が彼等の魅力を凝縮しており、ジャズ・ヴォーカル風のしっとりとした女性Voがゆったりとしたビートに乗り、エレガントな電子音の意匠にホーンのアレンジまで加わって優美なサウンドを紡いでいる。ディープで幅広い音楽性を示しながらも、アクセスしやすいポイントを上手く散りばめている巧者ぶりには拍手。安らかにミステリアスに夜を彩る良い作品である。

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