sukekiyo ‐‐Review‐‐

DIR EN GREYのフロントマンである京を中心とした5人組バンド、sukekiyo。ダークかつ耽美なアンビエントに傾倒したサウンドで聴き手の内面に迫る。2014年に待望の1stアルバム『IMMORTALIS』をリリースした。

レビュー作品

> VITIUM > IMMORTALIS


VITIUM(初回生産限定盤)

VITIUM(2015)

  DIR EN GREYの京を母体とした得体の知れない5人組の1stミニアルバム。昨年にリリースの1stアルバム『IMMORTALIS』から1年も経たずにリリースされること、また海外ツアーの敢行などがこのバンドが決して片手間の副業バンドということではないことの証明だが、内容も情報量に富んでいる。そもそも9曲で約38分の収録ってミニアルバムの尺ではない気がするのだが、13曲以上の収録じゃないとフルアルバムとして認めない的な決まりがDIR関連にはあるのか(笑)。

 繊細な筆致で上品に綴りながら、大胆な方法をも用いて魍魎蠢くような不思議な物語を描き出していくさまは変わらず。しかしながら、『IMMORTALIS』よりも肉体的なグルーヴ感が増して、バンドというのが板についてきたことを伺わせるのが本作。ヘヴィなサウンドが妖しい揺さぶりをかける#1「leather field」や奇妙な音絵巻が展開される#2「dunes」と序盤からそれを如実に感じさせる。

 ツアーを経たことでお互いの関係性を把握しながら制作できることが大きかったとインタビューで拝見したが、ブルージーな感触やスパニッシュなテイストを散りばめたツインギターが自由度を増し、楽曲の彩度調整を行っている。さらには、sukekiyoならではの和情緒の配合。もちろん、京の七変化で済まない多彩な声による表現が得体の知れない美醜の根源である。その中でも#8「celeste」での歌唱ぶりは見事。また、#5「雨上がりの優詩」や#9「focus」の歌とメロディが立っている曲が本作でもやっぱり肝だと思うし、僕としても好み。流麗で美しいサウンドが軸ながらも、背徳の色艶を晒しながら展開するこの2つの楽曲は、儚く胸に響く。

 決して枠にはまること無く飛び出し、色々な境界線を曖昧に揺らめきながら、確実に相手を翻弄する音像に仕立てる。聴き易さと変態性の両立、そして、タイトルの”VITIUM = 異常”をこうも変幻自在に魅せるのが刺激的。得体の知れ無さが一層深まった気のするミニアルバムであり、今後も聴き手の想像を煙に巻きながらより深みへと誘っていきそう。

 初回限定盤に付属のDISC2ではお馴染みとなったコラボレーション楽曲を収録。「雨上がりの優詩」ではToshl(X JAPAN)、「focus」では俳優の三上博史(マエストロ)と共演し、再び話題を呼んでいる。Toshlとのコラボでは低音パートを、三上とのコラボでは高音パートを歌い上げ、両者の良さを引き上げる京の歌の引き出しと柔軟性の凄さを感じられるところだろう。三上との「focus」は余りにも優美でセクシャルな大人のムードが漂いすぎている。さらには、元NINのRenholdërことDanny Lohner、Limp BizkitのWes Borlandのリミックスも収録。


IMMORTALIS(初回生産限定盤)

IMMORTALIS(2014)

 DIR EN GREYのフロントマンである京を母体とした5人組バンドの待望の1stアルバム。メンバーには、ex-RENTRER EN SOIの匠(Gt/Piano)と未架(Dr)、kannivalismのYUCHI(B)、ex.9GOATS BLACK OUTのUTA(Gt)が名を連ね、京自身としてもソロ・プロジェクトというよりも、”バンド”として捉えて欲しい想いがあるそうだ。

 制作にあたっての明確なコンセプトは無かったそうだが、「DIR EN GREYとは違う表現がしたい」という想いの積み重ねからできたバンドだけあって、全体的にダークかつ耽美なアンビエントへの傾倒した内容である。ファルセットを多用した歌唱表現、優美なギターやピアノをキーにして紡がれ、次々とミステリアスな光景を見せていく。民族的なリズムとアコギを中心としたプログレッシヴな構築が成す#1「elisabeth addict」からあまりにも衝撃的であり、『IMMORTALIS』という物語に聴き手を自然と向かわせる。

 退廃的で薄靄のかかったかのような楽曲の数々。そこには祇園で聴こえてくるような音から聖堂の格式高い音色までが集約され、眼をそむけるようなグロテスクさも、振れると壊れてしまう様な繊細さも、全てを赦して浄化する様な美しさもある。静を基調とした中で美だけでなく力強さも感じさせるポストクラシカル風の#2「destrudo」には思わず引き込まれるし、複雑怪奇な世界を見せる#13「hemimetabolism」から、和のテイストから情熱的なギターソロも含めて慈愛に満ちた#14「鵠」の流れにも感動を覚える。#9「the daemon’s cutlery」や#15「斑人間」のような激しめの楽曲もあるとはいえ、やはりDIRとは違う味わいでsukekiyo流の毒気を乗せた仕上がり。

 その中でもMusic Videoが制作された#7「aftermath」や#16「in all weathers」は、本作でも特に重要な存在といえる佳曲だろう。全体を通しても様々な幻想を織り上げながら、ひとつの大きなストーリーが生まれているような感覚がある。京ならではの世界観がより濃く投影された作品だけあって、精神的に生々しい衝撃はあるが、その儚い叙情性は特筆すべきものがあるかと思う。作品名である『IMMORTALIS』は、ラテン語で”不死”を意味するそうだが、「ジャンルや時代を超えて末永く聴かれていく作品を作りたい」というメンバーの想い通りの完成度の高いものに仕上がっている。個人的にも期待以上の作品に出会えて嬉しい限りだ。

 本作がさらに大きな反響を呼んだ要因は、豪華アーティスト陣が参加した初回限定盤に付属するリミックスCDの存在だろう。SUGIZO(LUNA SEA)、HISASHI(GLAY)、acid android、人時(黒夢)、石井秀仁(cali≠gari/GOATBED)、TK(凛として時雨)、室姫 深、そしてKornのジョナサン(Devilslug名義)といった面々が、何の制約もなしに彼等なりのひねりを加えた個性的なトラックへと変貌させている。SUGIZOや石井のリミックスの仕事ぶりは流石であるが、個人的には#3「zephyr」が優美なヴァイオリンとピアノを交えてTK流に再構築されていて(しかもドラムにBOBO参加)、特に大きなインパクトを残していると感じた。

 そして、事件ともいえるキリト(PIERROT)とのコラボレーションである。初めて見た時は眼を疑ったし、「最近、(キリトと)初めてお会いしました。」と某インタビューで見た瞬間に再び眼を疑ったもの。だが、初めてのコラボレーションとなった「aftermath」は、2人のヴォーカリストの声が美しい情感を伴って聴き手の内に染み渡る。僕自身、青春時代に聴いてきた彼等がこうして手を取り合って歌を聴かせてくれる事が素直に嬉しい。また、さらなる爆弾として、「in all weathers」のMusic Videoには鬼束ちひろを起用。NHK-FMのラジオに出演した際に、彼女にも初めて会ったという話を残しているが(PV撮影日が京の誕生日で、ハッピーバースデーを歌ってもらったとか)、こうしたエンターテイメント性の提供もsukekiyoというバンドの自由度の高さを伺わせる。

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