Sundelay ‐‐Review‐‐

 東京を拠点に活動するインストゥルメンタル・ロック5人組。”MOGWAI meets PINK FLOYD meets CAN”と評されているらしい独特のサウンド・デザインは注目で、2011年に1stアルバム『Stray Light』を発表した。


stray light

Stray Light(2011)

  東京を拠点に活動するインストゥルメンタル・ロック5人組のデビュー作。『”ここではないどこか”を音楽によって創造すること』をコンセプトに据えて活動しているという彼等の初作は、複雑精微に重なる音響が幽境の地へと連れ出してくれるような、そんな興味惹かれる一枚に仕上がっている。

 その温かな音色がepic45を思わせた#1に始まり、渦巻くサイケデリアが印象的な#2、再び陽の光に照らされ大いなる物語を締めくくる#3に繋がっていく組曲「neva」から本作はスタート。ポストロック的ではあるが、思考を凝らしたアプローチの妙が早くも垣間見れる。単音アルペジオを多用した柔らかな音使いが耳を引き、力強いリズム隊によるポストロック的な上昇アプローチが体をぐんぐんと持ち上げていく。そこに奥ゆかしい風情を流し込んでいくフルート(しかもこの奏者がex-内核の波の鈴木和美さん)が加わり、幽玄な音色が生成されていく形。その滋味深い響きと開放感に何とも言えぬ心地よさがある。しかしながら曲によっては、奇怪に浮遊する電子音の導入や複雑な構成力の影響で独自の螺旋模様を描いている印象。ポストロック/プログレの洗礼を浴びながら銀河に放り込まれていく11分超の#5や録音当日に即興で造り上げたというサイケ色の強い#7など掴みどころのない深さ・広さを見せつけているのも彼等のおもしろい所といえるだろう。全曲一発録音という大胆さもさることながら、多彩な表現力と緻密な構成力が合致した楽曲群は一癖も二癖もあって、現在のインスト・シーンにおけるトレンドをしっかりと抑えつつも、その背景にはクラウト・ロックやプログレといった要素と複合させながら自分たちの音を既に確立している。

 ドライヴ感のあるベースラインに乗って、フルートとギターがスリリングにぶつかり合っていく#8といった曲の存在感も光るし、温かな包容力が印象的な前半から一変して激しく感情を巻きあげていくクライマックスに痺れる#9による締めくくりも大変良い。様々な実験的自由の元で孵化していく楽曲群は緊張感に溢れつつも実に奥深く、緑生い茂る大地から煌いた夜空まで様々な景色を映し出す描写力も魅力的。初作でありながら独自の質感をみせしめた非常に味のある作品だ。

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