SUNN 0))) ‐‐Review‐‐

異次元の大轟音で世界を戦慄とさせる暗黒ドローン・ユニット。現在までにアルバムを7枚リリースし、世界各地でカルト的な人気を誇っている。その他にもライブ会場などでの限定リリースも多く、KTLなどのサイドプロジェクトも並行して活動を行っている。

レビュー作品

> Terrestrials > Monoliths & Dimensions


Terrestrials

Terrestrials(2014)

 偶然か。それとも必然だったのか。SUNN O)))とUlverというアヴァン・ミュージックのふたつの絶対神の融合がついに実現。2008年に始動したこのプロジェクトは、長い年月をかけてようやく結実し、2014年初頭にリリースされる運びとなった。

 様々な引き出しがある二者だけに、作品の内容が全く読めなかったが、最終的には折り合いをつけたアンビエント/ドローンに落ち着いた模様。非常にデリケートで深遠な音像になっているのが大きな特徴といえるだろう。SUNN O)))らしくほぼリズムレスではあるのだが、轟音による絶対的支配はここにはない。Ulverにしても決して特異なアプローチには走らず、達観した域から作品の芸術性を高めているように感じられる。ただ、どちらかといえばUlver寄りの作風ではあるけれども、彼等が主導権を握っていないと思える不思議。聴いた印象でいえば、Godspeed You! Black Emperorの静パートがひたすら続くようにも感じられるだろうか。アンビエントを軸足に、ギターやベース、ストリングスや電子音が精微に重なっていく。

 本作は終盤にヴォーカルが入る#3「Eternal Return」以外は、インストとなっているのだが、悲壮感漂う闇の中でわずかな光を追い求めていく感じがよく出ている。静かな迫力を持つブラスや終盤に入ってくるドラムが大仰にスケールを広げていく#1「Let There Be Light」、最果ての地まで流れ着くような暗黒ドローン色の強い#2「Western Horn」、そして本作の白眉といえる清冽としたアンビエントから勇壮なオーケストラまで、まるで舞台演劇のような#3「Eternal Return」という全3曲。現代音楽~実験音楽系の作品にしては、敷居が低いようにも感じられ、彼等には馴染みのない労わりのようなものを伝わってくるので、コラボレートとして意義深い作品に仕上がっている。国内盤のボーナスディスクでは、アッティラ先生のホーミーも堪能できるのでオススメです。


Monoliths & Dimensions

Monoliths & Dimensions(2009)

 KTLやAscend、Pentempleといった別機での活動も頻繁であったからか、前作『Black One』から実に4年ぶりとなる7thアルバム。終末をみないドローン地獄がビッグバンとも評すべき大衝撃を全世界に与えた絶対的暗黒神サン O)))がここにきて大胆な変化を見せている。

 意識下にある全てのものを破壊し、四次元的な歪みをもたらす圧倒的音圧の黒い轟音に、黒魔術を唱えるが如しアッティラの呪詛の囁きや、前衛ギタリストのオーレン・アンバーチの活躍等、畏怖と絶望が連なる残酷な地獄はこれまで通りのおぞましさ。しかしながら、本作に至っては格調高いストリングスやホーンセクション、荘厳な女性コーラス等を大胆に取り入れて、崇高な芸術性と神秘性を加味。救いの無いヘヴィ・ドローンの群像は、“音”から“音楽”へと大きな飛躍を遂げている。最果てまで続く漆黒の風景にはほんのわずかだが光が差し、凶暴なドローンノイズは新たに取り入れた楽器や要素とあいまみえることで異形ともいえる美しさを入手。彼等が尊敬してやまないEarthが『Hex』以降で見せたような革命、それがこのサン O)))の身にも起きているように思える。

 大轟音の化身だったこれまでとは明らかに一線を画す内容であり、音としての衝撃波が身を襲うよりも、音楽としての爪痕が脳裏に確実に残る。表現するなら封印を解いたといった感じだろうか。だが、表面上の聴きやすさが増したとはいえ、この宇宙にも匹敵するヘヴィ・ドローンはこれまで通り決して万人受けするわけではない。“サンで取り組んでいるのはいわば巨大な絵みたいなものさ”と彼等自身が語る通りに、どでかい音と底知れぬ深さを全身で感じる作品なのである。

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