Syndrome ‐‐Review‐‐

Amenra、Kingdom、Sembler Deahに所属するMathieu Vandekerckhoveによるソロ・プロジェクト。


floatingveins

Floating Veins(2011)

    “TOKYO JUPITER Compilation II”のDISC2の冒頭を飾ったのも記憶に新しい(コンピ収録曲は本アルバムにも収録)、AmenraのギタリストMathieuによるソロ・プロジェクト。ジャケは昨年生まれたばかりの御子息の写真を使用。

 深い闇の底から繊細なギターと厳かなリズムが荒廃した世界を形どって行く。Amenraの頭脳として活躍し、KingdomやSembler Deahといったサイド・プロジェクトでもその才能を発揮する彼だが、本作ではソロとして細かな感情の蠢きや幾重にも重なる闇の断層を、丁寧な表現力でもってして丹念に描き出しているかのようだ。美しいフレーズの連なり、ファズ・ギターの喧騒、意識が溺れていくドローン・ノイズ・・・。さらにはサンプリングや灯火のように微かに揺れるコーラス等も導入して、スピリチュアルに迫る。アンビエントやドローンの意匠にメロウな色合いも本隊以上に強い気はするが、空間に拡散する荘厳なギター・ノイズは重々しい。AmenraやKingdomほど脅威の音圧ではないにしろ、闇が通底するその音像によって内省の淵へと沈んでいく。また芸術性も貫かれている。特にコンピにも収録された#2における重く儚い心象風景は秀逸。ラスト#5ではいきなりAmenraに立ち返ったようなスラッジ・リフが不穏な暗闇の底から轟いてくる所にも驚かされた。全5曲30分は、多様な音楽性を越境するギタリストの魅力がグッと凝縮した一枚に仕上がっている。#2を聴いていると、タイプは違えどMark McGuireと同列で語ってもいいと思えるほどだ。

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