Taylor Deupree ‐‐Review‐‐

ニューヨークのミニマル系主体な電子音楽レーベル12Kを主催する総帥。その実験的なサウンドで平衡感覚を静かに静かに揺らし続ける。


Shoals

shoals(2010)

   前作から3年ぶりとなるニューアルバム(過去作は全て未聴)。彼がイギリスのヨーク大学滞在中に学内の設備を自由に使えることから、ジャワやバリのガムラン楽器楽器のみを使って制作が行われていて、そのサウンドのループをkyma (キーマ) というシステムでプロセス/構築したものになるという。アンビエントやミニマル・ドローンといった単語が飛び交う音楽ではあるが、繊細でデリケートな音粒子の蠢き、流れ、融合を敏感に感じながら瞑想に耽ることのできる作品であると思う。全4曲で44分超、とても静かでゆるやかな音楽の変相を噛み砕いて消化していくというべきか。時間の流れ、音の流れを体でも心でも感じ取りながら潤いがもたらされていく感じ。小さくゆるやかに振動する音符を引き延ばしては、パーカッシヴな音や水滴が落ちていくような音がたおやかに混じり、独特の有機性とアンビエント感覚を有したサウンドを形成していき、やがては空間と同質化していってしまう。起伏や変化には乏しいといえば乏しいのだが、その美しくもミステリアスなサウンドスケープの変相や揺らぎの妙をじっくりと味わうのが本作の肝。音数の絞り、そして微細なノイズの周波までをコントロールしながら奏でられた神秘に対して、個人的には未知の感動との触れ合いを覚えたのであった。

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