te’ ‐‐Review‐‐

2004年1月に結成されたインストゥルメンタルバンド。バンド名はそのまま普通にte'(て)と読んであげてください。エモーショナルロック、ポストロック、マスロックなどをバックボーンに持つ強靭なサウンドが感性を刺激するバンドです。1stアルバム、2ndアルバムと好評を博し、海外でもツアーを行うなど国内外問わずに活躍。残響レコードの代表格である。

レビュー作品

> ゆえに、密度の幻想は綻び、蹌踉めく世界は明日を『忘却』す。 > 敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での「約束」を。 > まして、心と五感が一致するなら全て最上の『音楽』に変ずる。 > それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。> 音楽の研究者は、音楽をねじ伏せようとしてはいけない。音楽をして、音楽の赴く所に赴かしめるように導けばよ > ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る。


ゆえに、密度の幻想は綻び、蹌踉めく世界は明日を『忘却』す。

ゆえに、密度の幻想は綻び、蹌踉めく世界は明日を『忘却』す。(2012)

   2月に出たシングル(新曲3曲にライヴ音源9曲)もそうだったが、ついにジャケットが変わった。そして、さらに大きいことにte’の曲名とアルバムタイトルを考えていて(今もか?)、ベースとMCを担当したmasa氏が脱退。Wrenchのベーシストのmatsuda氏が加入して初のフルアルバムとなる通算5枚目。リリースは再び自身の残響レコードに回帰。

 しかし、相も変わらずte’である。まぎれもなくte’である。ただし、さらにエネルギッシュでラウド。以前よりも”ロック”と大きく太字で書きたくなるぐらいに力強さがいっぱいに表れている。冒頭#1からジェットコースターのような起伏に富み、興奮を約束。複雑な展開をスリリングに駆け抜けるも、ストレートに伝わるエモーションと衝撃が熱を生む。また、ライヴ感ある仕上がりに優れた#2は、新たなte’の代表曲といっても差し支えない完成度を誇る。沸点に到達するまでの瞬発力、そして内なる衝動の爆発。ツインギターのキレのあるリフと勢いを加速させていくドラムが問答無用でかっこいい。シングルでの発表時よりもさらに分厚く、鋭くなった#8の存在も大きい。matsudaの加入で引き締まったリズムは牽引力を増し、それがバンド全体のうねるようなグルーヴにも繋がっている。これまたいつも通りに、メロディアスな曲ではあまり冴えを見せてないのが玉に瑕。だが、尋常じゃない熱量を感じさせる作品と言えるだろう。激しく混沌としたラスト・トラックもまた彼等らしい。

 インスト~ポストロックといってもそれぞれにスタイルがある。MONOにしてもtoeにしてもLITEにしてもsgt.にしても。その中でもte’は、エモーショナルでハードコア、ちょいプログレとメタルテイストを交えた激熱のインストゥルメンタルを追求し続けている。本作もまた、ライヴで拳を振り上げる観衆の姿が浮かぶ。やはりこれこそがte’である。


敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での「約束」を。

敢えて、理解を望み縺れ尽く音声や文字の枠外での「約束」を。(2010)

   ギタリストの病気療養を経て、完成させた1年8ヶ月ぶりの4thフルアルバム。本作は、自らが運営する残響レコードではなく、徳間JAPANからメジャー発売されている。

 ポストロックという形骸化された世界からは一線を画すだろうハードコアやエモの激情が乗り移った轟音、静謐とした場面では思わせぶりな長いタイトルのようにリリカルなメロディを拠り所に、尖ったインストゥルメンタル・ロックを志向してきた彼等。その情熱と破壊力が異才を放ち、趣味丸出しの長文タイトルもあいまって、多くの人々の関心を誘ってきたのは周知の通り。本作もその初期衝動は微塵も消えることなく、灼熱の炎に包まれるかのような激ロックしている作品である。それこそ、凄まじい熱気と爆発的なエネルギーを発するライヴをそのままパッケージしたかのような印象だ。いつも以上にキレてるし、いつも以上にメロディが立っている。

 聴いていて、ど頭から4曲目までの流れは実に見事だと思う。目くるめく変拍子の乱舞に、卓越したテクニックとフィジカルな演奏がもたらすマッシヴなグルーヴ感、本能剥き出しの轟音と美しき旋律の破壊と創造・・・etc。加えて、ハードロックっぽいエッジの立ったリフなんかも顔を見せていて瑞々しい攻撃力をみせつけている(特に#3がかっこいい)。やはりte’は動のパートで振り切れているバンドだということを改めて実感するし、また、そうでなければらしくない。四者が共振しながら熱く鼓動を高鳴らせる轟音を描いた時が、やはり一番のハイライトなのだ。ただ、ポストロック的なスロウで叙情的アプローチをみせる曲では、本作でも2ndアルバムの2曲目を超える曲には出会えなかったのが寂しいところ。こういった曲が以前ほど冴えていないように思えてしまうのが玉に瑕。それでも、te’節を堪能した後に突如として現れるオーケストラ風の合唱に驚かされる#10、全てを蹴散らしのた打ち回るインスト・ハードコア#12にもハッと覚醒を促される。

 環境を変えようが慢心することなく、自分達の長所を力強く更新しようという姿勢が伝わる作品だと思う。おそらくこれからもどこかで期待をいい意味で裏切りながら、常に刺激的で衝動的な作品を創造していくことだろう。


まして、心と五感が一致するなら全て最上の「音楽」に変ずる。

まして、心と五感が一致するなら全て最上の『音楽』に変ずる。(2008)

   前作より約1年とこれまでにない早いスパンでのリリースとなったte’の3rdアルバム。全12曲収録といつもより2曲多いけど、収録時間はこれまでの中で一番短くてタイトにまとまっている。

 衝撃という言葉でもって受け入れられた1st、繊細で奥行きのあるサウンドスケープを構築した2ndという過程を踏まえ、本作を聴いて感じたのはズバリ”多彩”という言葉である。もちろん、ポストロックという概念そのものをぶち壊す破壊力抜群の轟音と鮮やかで優美なメロディを激しく交わらせる前傾姿勢はそのまま。その上にダンサブルな4つ打ちから、マスロック、プログレ、ハードコアといった各種のスパイスを加えた振り幅の広い作品に仕上がっている。わりと1stアルバムに近い印象を受けたが、音が重厚さと強度が増したことに加えてバラエティに富んだ内容はよりベクトルが外へ向かっていることを感じさせる。乱れ飛ぶ変拍子に、落差の大きい静と動を艶かしく行き交うスリリングな展開、狂騒に巻き込む爆発力と瞬発力。これでもかというぐらいの激情が音の一つ一つから伝わってくる。比類なき4つのパワーがぶつかり合い、獰猛に暴れ回る#1~#4で早くもお手上げ。昂揚感がひどく高まってくる。その後はポストロック的叙情性を生かしたメロディアスチューンへとシフト。流麗で艶やかなこの変相っぷりもまた見事であり、情感豊かに奏でられるメロディが温もりや生暖かさを感じさせてくれる。そのままじっくりと心地よさに浸ったところでラスト#12で再び轟音の引き金を引き、止めを刺す。

 この作品から伝わってくるエネルギーは尋常ではない。四者の放つ強烈な意志とそれを裏付ける音塊。前作#1のようなキラーチューンは無いが、聴けば聴くほど耳にヒリヒリとした生々しい感触が残り、激昂感がとめどなく溢れでる。相変わらずポストロックという概念にとどまることを知らない強き衝動が魂を揺さぶる作品だ。


それは、鳴り響く世界から現実的な音を「歌」おうとする思考。

それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。(2007)

   相変わらずアルバムタイトルや曲名を見ただけで少し辟易してしまいそうなインストゥルメンタルバンドte’の2年ぶりとなる2ndアルバム。

 宇宙規模の革命的な大爆発を想起させる衝撃的な#1の凄まじいまでのインパクトにまず悶絶。轟音の荒波が次々と襲い掛かる2分45秒間に一気に飲み込まれて、いつのまにか放心状態。その破壊的な激性に待ったをかける様に、ダイナミックに美しく華のあるメロディを空間に広げていく#2で耽美な面を強調。本作では#1よりも#2のような美しさと激しさを滑らかに行き交うタイプの楽曲が多く、メランコリカルなフレーズや歌心を感じさせるギターを幾重にも重ねて繊細で奥行きのあるサウンドスケープを構築。前作よりも上質な深みが増して静なる混沌が渦巻いている作品といえるだろう。しかしながら、その中にも時に見せる力強い音のうねりがまた心地よい刺激をもたらしている。前述の2曲もそうだが、激しい喧騒の烈風を吹き荒れる動パートと穏やかな風が凪ぐ静パートが見事なコントラストとなっている#6、体の深奥までメロディが沁みる#9も非常に印象に残る。破壊と創造を繰り返す手法の中、巧みな叙事性が光っているといえるだろう。

 さらに付け加えると、聴いていて思ったのは前作以上に一音一音に彼等のエモーションが乗り移っており、楽曲を伝える上で主軸としている“歌心”と“伝えること”という主張が強く感じられたことだ。長ったらしい哲学的なタイトルも彼らにとってはその手段の一つだと思うが、詩や歌が無くてもその万倍以上に伝えることができるという自信がより伝わってくるのが本作。そんな音だけが無限に広がる世界、それに歌を付け加えるのは聴き手である自分達次第ではないだろうか?と個人的に勝手に解釈。もしかして、この作品はそういったことを我々に問題提起しているのかもしれないな。


ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る。

ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る。(2005)

   30文字を越える長く哲学的なタイトルが印象的な残響レコードの旗手te’の1stアルバム。繊細なギターフレーズから感情の刻まれた音が一気に爆発して大地に轟き、我々を震天。けたたましい轟音の中でのた打ち回っていると、今度は逆に美しい波紋が全身をゆるやかに駆け抜けていく。多くのパルスが縦横無尽に飛び交い、稲光のように研ぎ澄まされた音の光が穏やかな空に鋭い放物線を描く。その猛烈な衝撃が最後には全身に襲い掛かる。そんなポスト・エモーショナル・インストゥルメンタル・ロックが彼等の持ち味。だが、te’の場合、他のポストロックバンドと違いエレクトロニカを多用しているわけではなく、従来の4人で出すストイックでシンプルなバンドサウンドを大事にしている。そして、最大の武器であるエモ/ハードコア系の切れ味ある野生的なサウンドが破壊的な情景を創造するのである。

 リリカルな響きを持つギターフレーズから感情を無限に解放し、広がる爆炎の泉。ピリピリとした緊張感のある空間をただひたすら突き進んでいく音の荒波。美しく叙情的な旋律が演出する優美な世界。ポストロック的な静と動の織り成す言葉を越えた世界にも惹かれるのだが、4人がぶつかり合わせた時に起こる一転集中型の凄まじいエネルギーはte’ならではものだろう。雪崩れ込んでくる音の衝撃波に有無を言わさず飲み込まれること必至。深海のような静けさも、烈火の炎のような激しさをも持ち合わせる本作品はゆったりと宇宙の彼方まで音を轟かす。タイトル通り “『音』の世界の深淵” を雄弁に語ってくれている作品だ。

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