the piqnic ‐‐Review‐‐

静岡県浜松市を拠点に活動する男女4人組オルタナティブ・ロックバンド。2015年には欧州ツアーを成功させ、国内外で要注目の存在となっている。


 

zyouk

Zyouk(2015)

 BO NINGEN with ダモ鈴木などのリリースを手がけた日本/UKをベースとする、so i buried recordsより発売の1stフルアルバム。300枚限定です。2年前に溶けない名前の自主企画にて、彼等のライヴは体験済み。曲中に前転してたなあ。

 暗闇で響き渡り、暗闇から降り注ぐ。ロックバンドとしての初期衝動を表出しつつも、ダークで優雅に。オルタナティヴやシューゲイズ、サイケという言葉が飛び交う音楽性だとは思いますが、バンドの特徴であるShuya氏の色気のある歌(ファルセットを結構使う)とノイズの揺らぎ、それらが光にも影にも変わります。楽曲からはTHE NOVEMBERSにも似た耽美主義を感じるところ。しかし、異様なまでにリズムが強調された#1「ArA」、サイケデリックかつ不穏なグルーヴが脳味噌を掻き乱す#3「ZyouK」と危険な毒が忍ばされています。唯一聴いている前デモ作『I Can’ Breathing』よりも攻撃性は研がれ、深まる混沌。それに加えて#5「krs」からは、ダーク・シューゲイズと評されるのも頷けるエレガンスな音の蠢き、疾走感が心地よいものです。

 ただ、Borisの「虹が始まるとき」を思い起こさせる#6「M-S」から流れは変化。音をできるだけ絞り、感傷的な歌を前面に押し出していきます。フォーク・ソングに近い情緒を重ねていくその表現からは、日本人のわびさびにも繋がっていくような感触も覚えたり。特にクリーントーンの美しさに吸い込まれていくラスト#8「O」は白眉。今を照らすかのように歌い上げる最後の一節「今日が何より素晴らしい一日だから」に、静かな衝撃が宿ると同時に全てが清算された気分。そういった全体の流れを踏まえて、見事な作品に仕上がっています。

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