USエモ・スクリーモ/ポストハードコアシーンを牽引してきたニュージャージーの6人組。日本のenvyともスプリット作品を出したことでも知られている。
Common Existence(2009)
USポストハードコア・シーンにおいて一際輝きを放つサーズデイがエピタフへ電撃移籍しての5thアルバム。彼等に関しては昨年のenvyとのスプリット作品から知って(本作の#3はそこに収録されてた)興味が湧いたので、本作で彼等の作品に初めて触れてみた。
前作に引き続いてデイヴ・フリッドマンを迎えて製作した本作は抜きん出た個性を見せつけている快作といえるものではなかろうか。鋭く切れ込んでくるようなリフからポストロック的な空間美に長けたフレーズまでを操るギターと生々しい躍動感が光るリズム隊の瑞々しいアンサンブルに、激しくも切ないその歌声は聴き手の心の奥深くまで入り込んでくる。envyとのスプリット作品では激エモーショナルな迫真のサウンドに惹かれたのだが、本作でもそれは堅持、さらに広がりと奥行きを追求した音を鳴らしている印象だ。静と動の起伏に富んだ劇的かつダイナミックなコントラストを生かした力強くもドラマティックなサウンドは、冷たく繊細な世界を創り上げながらもどこか破壊的であって美しい。その世界観の構築にしても多様なジャンルを混ぜ込んではいるが、やけに堂に入っているというか、腰の据えたつくりとなっていて一切の無駄を感じさせない。脆さと神秘性の両面を孕んだヴォーカルは個人的には苦手なのだが、それでも哲学的な詩であったり、透明感のある空間的音使いのうまさであったり、ゆったりと激情を昇華していく部分の巧みさには十分酔わされる。
複雑に入り組んだ起伏を描きながら激しく畳み掛ける#1や#3のような曲がいかにも鮮烈なのだが、枯れた哀愁をじっくりと膨らませていく#6や#10といった聴かせるタイプの曲にしても強い説得力がある。ナイフで心の闇を抉り取っていくような切迫感をもつラストの#11まで終始、激情の雨に打たれ続けているかのようだ。スクリーモの元祖という位置づけを越えた異境へ。ポスト・ハードコアの深淵を思い知らされる濃密かつ扇情的な11曲45分を十分に堪能できた逸品だった。
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