【アルバム紹介】Thursday『Common Existence』

 USエモ・スクリーモ/ポストハードコアシーンを牽引したニュージャージーの6人組。1997年結成。日本のenvyともスプリット作品を出したことでも知られ、これまでにオリジナルアルバム6作を発表。2013年に解散するも2016年に復活。

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アルバム紹介

Common Existence(2009)

 5thアルバム。全11曲約45分収録。Epitaphレコーズに移籍。プロデュースはデイヴ・フリッドマンが担当しています。

 アルバムのタイトルは人類の共通の経験を指しており、曲の多くはデニス・ジョンソンやロベルト・ボラーノなどお気に入りの詩人や作家の言葉に影響を受けている(海外wikipedia参照)。

 鋭く切れ込んでくるようなリフからポストロック的な空間美に長けたフレーズまでを操るギター、生々しい躍動感が光るリズム隊の瑞々しいアンサンブル。そして激しくも切ないその歌声は聴き手の心の奥深くまで入り込んでくきます。

 静と動の起伏に富んだ劇的かつダイナミックなコントラストは、冷たく繊細な世界を創り上げながらも破壊的であって美しい。

 複雑に入り組んだ起伏を描きながら激しく畳み掛ける#1や#3のような曲がいかにも鮮烈なのだが、枯れた哀愁をじっくりと膨らませていく#6や#10といった聴かせるタイプの曲にしても強い説得力がある。

 ナイフで心の闇を抉り取っていくような切迫感をもつラストの#11まで終始、激情の雨に打たれ続けているかのよう。ポスト・ハードコアの深淵を思い知らされる全11曲45分。

プレイリスト

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