V.A.(Tokyo Jupiter Records) ‐‐Review‐‐

世界中に散らばる激情ハードコア/ポストメタルの宝石たちを独自の視点でセレクトし、リリースを手掛けている国内レーベル。日本国内ではほとんどスポットの当たっていない各国のアーティストの発掘、そしてリリースに至らしめるまでのその敏腕ぶりには脱帽。Daymare Recordingsに続いてチェック必須の重要レーベルです。

レビュー作品

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TOKYO JUPITER Sampler~2011-2012~(2012)  

 タイトル通りのTOKYO JUPITER RECORDSのフリー・サンプラーである。2012年11月末のThe Black Heart Rebellionの来日ツアーの時に無料配布されていたものだ。

 そのTBHRは収録されていないが、TOKYO JUPITERの2012年最初のリリースを飾ったKYOTYに始まり、MilanKu, Amenra, Seila Chiara, Via Fondo, Trachimbrod, TotorRo, Gottesmorder, Reka, The Caution Children, Up There: The Cloudsという11バンド11曲を収録している。収録時間も目一杯の74分という大ボリューム。それぞれのバンドは、各レビュー・ページを参照していただきたいところだが(上の各バンド、クリックすれば飛べます)、前年のTOKYO JUPITER Compilation IIに引き続いて、レーベルの音楽性・方向性を上手くパッケージしている。コンピ時とは違って、発掘の意味合いは薄いけれども未聴・未体験の人々の心を揺さぶる内容であるのは間違いない。

 Neurosisに認められてNeurotにまで駆け上がったベルギーの漆黒のスラッジ/ポストメタル集団Amenraから、Caspianからも賞賛の声が送られるフランスのTotorRo、心の内側から熱くなるカナダの悲哀激情ドラマティック・ポストハードコアのMilankuなど、是非とも知ってほしいバンドが勢揃い。なかでも最後を飾るUp There: The Cloudsは、コンピ参加組で単独音源はリリースされていないが、このサンプラーには収録されているので2013年に何か進展があるのかもと匂わせる。そんな全11バンドがTOKYO JUPITERを彩っており、是非とも聴いていただきたいと個人的にも切に思う。


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TOKYO JUPITER Compilation II (2011)

 世界中に散らばる激情ハードコア/ポストメタルの宝石たちを独自の視点でセレクトし、リリースを手掛けている国内レーベルTokyo Jupiter Recordsによるコンピレーション・アルバム第2弾。未来への可能性を存分に示す14アーティスト14曲のCD2枚組96分にも及ぶ激情の宴、過剰なまでに心身を突き動かす音塊の表出は、その手のファンにとって非常にたまらない内容となっている。

 収録曲は、レーベル所属アーティストを中心にセレクトし、全新曲/未発表曲のみで構成。コンピのための書き下ろしの曲や次作品の一手としている曲も多くあって、聴き応えは満点である。Tokyo Jupiterの顔であるベルギーの激情ハードコアThe Black Heart RebellionにフロリダのThe Caution Children、さらには国内からは初の正式音源となる美しいポストロックを経由・昇華したenvy、heaven in her armsと形容できそうなNonremが日本代表として堂々と参加。中には友情枠といったものやこれからレーベルが積極的に関与していきたいと考えているアーティストも抑えており、Tokyo Jupiterというレーベルの明確な色を示すだけでなく、今後の展望も交えた含みのある作品となっている。

 そんな本作の核となっているのは美しいメランコリーを孕んだ激しいインストゥルメンタルとエモーショナルな歌/叫び(完全インスト曲も多数)だろう。気の利いたデリケートなメロディと峻烈に空間を焦がす激情を具象化したドラマティックな展開で胸倉掴み、感情を奮い立たせる楽曲群の数々で聴き手をリードしていく。オープニングを飾るThe Black Heart Rebellion、The Caution Childrenが作品のクオリティを証明する曲の連発で幕を開け、続く国内唯一参加のNonremが叙情派ポストロックをハードコア流儀で力強く打ち鳴らす楽曲を提供して彩りを添える。そして、作品はTrachimbrod、Via Fondo、Orfe`vreの胸アツすぎるド迫力の激情サウンドの奔流で畳みかけ、加速していく。その流れを引き継いでDISC1を締めくくるのは先頃レビューも掲載したイタリアの超新星轟音ポストロック・バンドUp There:The Clouds。まるで映画のサントラのように優美な音色が鳴り響いた瞬間から、世界を一変させ、エレガントな轟音が無限の荒野に美しく花開いてく。圧倒的な造形美を打ち立てる若き才能に涙、この新曲には完璧に骨抜きにされてしまった。

 DISC2でも漆黒の深淵からじわじわと巨大な音の壁を打ち立てるMilanku、Caspianに手放しで称賛されたという轟音ポストロックを展開するフランス・レンヌの新人・TotorRoのクオリティに参る。アジアで精力的な活動を続けるOblivion Recordsというレーベル(jukiの2ndデモをシンガポールで販売しているらしい)を兼務しているというシンガポールのポストロック・デュオErfaraも目から鱗であったし、Southern Lord系列のブラックメタルを標榜して本作では異彩を放っているGottesmorderも新鮮。こちらサイドでは発掘の意味合いがより強い気がするけれども、精度の高い楽曲が当然のように収録されている辺りはレーベルの優れたセンスの賜物だろう。もちろん、それに見合った曲を送りこんできたアーティスト側の意欲も称えたい。Pelicanを髣髴とさせる轟音と叙情の広大な音風景を14分にも及ぶインストゥルメンタルで表現するアメリカのKeep Your Opinions To Yourselfによる壮大な締めくくりは、聴く者全てに驚きを与えることだろう。

 全曲レビューの掲載とまではいかなかったが、どの曲もバンドとしての芯が一本通っているし、らしさがある。Tokyo Jupiter Recordsの想いの結晶、また若きアーティスト達の素晴らしい可能性に感嘆するばかり。期待を遥かに超えたコンピレーション作品であった。最後に敬意 を示すべくレーベル代表のTwitterに記した言葉とアルバムの全曲トレイラーを紹介したい。

『8ヶ国から生まれも環境も宗派も異なる14組のアーティストが参加してくれましたが、どこを切り取っても『TOKYO JUPITERらしい音と感情表現』を形成してくれてます。コンピにはスポットを当てなければ一生出会うこともなかったような小さな、そして若いアーティスト達が収録されていますが、その知名度の大小に限らず世界のどこかでこういう音楽を掻き鳴らしている人達が存在していて、将来的なサポートを求めているということをCDを通して感じて頂ければ幸いです。』

 こちらのコンピはTokyo Jupiterのディストロ、DISK UNION、STM online等で入手できる。激情というキーワードにピンと来る人だけでなく、エモ~ポストロック/ポストメタル~ハードコア界隈を聴く方、さらにはもっとたくさんの方々に本作が届くことを祈っているし、実際にそうなって欲しいと願うばかりだ。

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