戸川純 ‐‐Review‐‐

歌手活動35周年を迎えた唯一無二のオルタナティブ歌姫。


わたしが鳴こうホトトギス

わたしが鳴こうホトトギス(2016)

 歌手活動35周年記念作品。戸川純さんからの発案によって、親交のあるVampilliaとコラボレーションが実現したとか。戸川さんはベスト盤を聴いたことがあるぐらいで(そんな聴いてないけど)、僕は熱心にハマりはしなかった口です。あと最近、ロンハーを観ていて彼女のウォシュレットのCMを知った(笑)。

 内容としては、全10曲中9曲が自身の代表曲をリアレンジしたもので、表題曲である#9「わたしが鳴こうホトトギス」が新曲。原曲からアレンジをかなり加えられているそうですが、サウンドは手加減することもなくVampilliaの特徴が発揮されています。けたたましいツインドラムやギターの迫力、そしてストリングスと鍵盤が哀感を投与。自分たちの色は遠慮なしに出す、でも敬意を表す。そんな演奏で楽曲を支えています。そこに乗る戸川さんの歌声は加齢による変化がありますが、囁くような歌い方から急にスイッチが入って凄みのある声で圧倒。仙水ばりに人格が入れ替わったかのように多彩な声色の変化がある#2「好き好き大好き」の歌唱は、特に驚かされます。

 イントロから高まる#1「赤い戦車」、畳み掛けるように攻める#3「バーバラ・セクサロイド」など序盤からその仕上がりの良さを実感。なかでも、悲壮感たっぷりのストリングスから猛嵐のようにダイナミックなサウンドが展開される#8「Men’s Junan」は強烈です。逆に#6「12階の一番奥」はセンチメンタルな詩情に彩られ、侘しき心に温もりをもたらします。アルバム全体の流れは様々に起伏があってとても良く、実にフックが効いていて引き込まれる。そして一貫しているのは、彼女の情念の濃さ。静けな幕引きとなった#10「怒涛の恋愛」においても言霊に力が漲っています。

 本作は往年の戸川さんファンから高評価を受けているようで、両者の真っ当なリスペクトが見事な結果となって表れています。戸川純/Vampilliのどちらを本作の入り口にしたとしても、双方が納得いくであろう素敵な魅力がある。見事な仕上がりとなった久々の新曲#9「わたしが鳴こうホトトギス」でカッコウと鳴く両者は、これからも多くの希望を見せてくれそうです。

戸川純(JUN TOGAWA) 「赤い戦車」/ 歌手活動35周年記念作品『わたしが鳴こうホトトギス』with Vampilliaより/2016年12月14日発売
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戸川純(JUN TOGAWA) 「赤い戦車」/ 歌手活動35周年記念作品『わたしが鳴こうホトトギス』with Vampilliaより/2016年12月14日発売

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