The Used ‐‐Review‐‐

破滅型激情シンガー、バード・マクラッケン率いる4人組。デビューアルバム『The Used』で新世代のヒーローとされ、一気にスクリーモを代表するバンドへとのし上がったバンドである。日本でもかなりの人気を誇る。

レビュー作品

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Artwork (W/Dvd)

Artwork(2009)

 プロデューサーをマット・スクワイアに変更して臨んだ2年ぶりの4作目。前作ではホーンやプログラミングなどを多用したド派手な装飾を施し、エモ・スクリーモから新たな道を模索していたが、本作ではまた随分とシンプルに音数を絞っていて、初期を思わせるようなストレートな作風になっている。ハードロック的な趣をみせるマッシヴなバンドサウンドに、一気に世界観へ引き込むバードの歌声、それにはUsedの原点を思い起こさせるが、表面的には結構キャッチーな肉付きで意外とあっさりとした感じ。また、ヘヴィさが増した分、ややダークな側面も引き立っている。印象としては1stというよりは2ndに近い感じだろうか。ただ、スクリームもさほどあるわけではないし、ミドルテンポ中心の構成から、帯にある”原点回帰”という言葉を期待すると肩透かしを喰らいそうだ。まあ、個人的にこのバンドは、アルバム全体がいいというよりは、どれだけいい曲が入っているかに尽きるのだけども、過去と匹敵してこれからの代表曲になっていきそうなのは集大成のエネルギーが注ぎ込まれた#1ぐらい。あとはどこか焦点がぼやけた曲が続く印象を個人的には持ってしまう。思うのはやっぱり、スクリーモの立役者としての重圧から逃れられずにもがいているのかなということ。次作でもあがくと思うが、ポテンシャルは実証済みなバンドだけに何とかこの試練を乗り越えてもらいたいもの。


Lies For The Liars (Amended Version)

Lies for the Liars(2007)

 2年半ぶりとなる3rdアルバム。その間にドラマーが脱退するなどのいざこざがあったみたいで、それが影響してか本作は前2作とはまた違う可能性を見せており、他方向にベクトルが向いた作品に仕上がっている。彼等の表現者たるその姿勢とそれに見合った楽曲の完成度は1stから十分理解していたけども、今回はかなり多岐に渡るアプローチを取り入れてよりドラマティックな色彩感覚を与えることに成功。ストリングスやホーンセクション、ゴシック、幾重に重なるコーラス、エフェクトなど絢爛に装飾された派手なサウンドで聴き所を増やし、感動を誘ってくる。ぶっちゃけるとここまで変わるとは思っても見なかったので驚きの変貌振りなのだが、The Usedらしい色はそれなりに残せていると思う。失神するようなぶちキレ具合も健在なのだが、以前までの方法論とは違えど、キャッチーな色合いを増した本作は認めてもいい内容ではないだろうか。従来とは違った勢いが感じられる楽曲の#1や#2、#10辺りテンション上がるし、シリアスな#4でも十分その感情が伝わってくる。スクリーモという言葉を震撼させた1stには敵わないが、新たなステップとしてなかなかおもしろい作品であると思う。ただ、みなさんが仰る通り後発バンド(●イケミ)の影響を大きく受けてしまうってのは、先輩としてどうなんだろうか・・・。さすがにそろそろ叫びバンド云々の言葉に嫌気が差してきたためかな。


In Love & Death

In Love And Death(2004)

 前作で早くもスクリーモ・シーンを代表する存在となったThe Usedの2ndアルバム。冒頭からけたたましいことこの上ないほど苛烈で勢いのある#1「Take It Away」を聴いた時は、前作を越えた!とたまげたものだが、その爆発はホンの一瞬で終わってしまう。なるほど、この手のタイプにとっては宿命ともいうべきか、その破壊力に頼るのはやめてメロディに磨きをかけてきた作品である。形振り構わないキレた咆哮や勢いのある演奏は影を潜め、穏やかに・・・。だが、前作を聴いた感じだとメロウな曲に対してもそのストイックな姿勢が貫かれていて、過激な楽曲と対等できるほどの完成度を誇っていたように思う。本作はそんな楽曲に対してさらに切なさをプラスし、より胸に響くようになっている。#2「I Caught Fire」は非常にポップネスが貫かれた曲だし、#4や#7辺りのバラードっぽい曲も心に染みてくる。もともと表現力はしっかりとしているバンドだけにさすがの仕上がり。ただある意味では、真っ当な進化とも捉える事もできそうだが、過激と美が共存して混沌が渦巻くあの世界が持ち味だったことを考えると不満に思うファンが本作で続出したというのも致し方ないのかも。個人的にも満足半分、不満半分といったところだろうか。


The Used (Enhanced)

The Used(2002)

  「このキレ方は半端じゃない!」というキャッチコピーが鮮烈なデビューアルバム。その言葉通りに内容はとても激しくて獰猛。ただそれだけにとどまらず繊細な美しさも絶妙なバランスで同居させている。キレるとこはとことんキレてその突進力と破壊力を轟かせ、じっくりと聴かせる場面では落ち着き払って叙情的なメロディを愛しく奏でる。その両極のコントラストが前述した通り実に絶妙。それは一重にバード・マクラッケンのヴォーカルワークに尽きると思う。演奏陣に関しては確かにアレンジの仕方など目を見張る部分もあるが、このヴォーカルによって全てのエネルギーを増幅させながら聴く側に伝えているように感じるのだ。その表現力の凄さときたら褒めるほか無い。とりわけ#2や#11などのメロウな楽曲での情感溢れる歌いっぷりには涙を誘われた方も多いのではないかと思う。もちろん、虚空を切り裂くようなスクリームがバンドの生命線であることには変わりない。壮絶すぎるほどの初期衝動が感じられる#1にはもはやお手上げである。スクリーモを代表する作品として、今でも君臨する名作。

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