Wolves In The Throne Room ‐‐Review‐‐

アメリカはワシントン州オリンピア出身のブラックメタルバンド。自給自足しながら育む神々しいブラックメタル・サウンドで、カスカディアン・ブラックメタルの代表格として君臨している。

レビュー作品

> Celestite> Celestial Lineage > Black Cascade > Two Hunters


Celestite

Celestite(2014)

 Ambient In The Throne Room!! 


CELESTIAL LINEAGE (セレッシャル・リニイジ)

Celestial Lineage(2011)

   自給自足の生活を送りながら自然崇拝を掲げる新世代ブラックメタル・デュオの通算4枚目。ここ数作同様にランドール・ダンを共同プロデューサーに起用。アーロン・ターナー先生(ex-アイシス/マミファー他)もこれまで以上のバックアップで、本作のレコーディングにも参加しているとか。

 悪霊が頬笑み、森の奥に開ける神秘的な世界。寒々しいトレモロや悲痛なまでの絶叫がもたらすブラックメタルな殺傷力、そしてポストロック/シューゲイザー的な流麗さと包容力が奇跡的に邂逅を果たす彼等の音楽は、本作でも流石の内容だ。10分超にも及ぶ楽曲を静と動の深遠なる揺り動かしで表現して、天国と地獄の両方へと叩き落とす。神秘的なキーボードや厳粛たる女性クワイアが荘厳さに拍車をかけているのは前作から引き続きだが、アンビエントも結構フィーチャされていて、作品の幻想的な世界観をより鮮明にしている印象。短尺のSEを3曲も導入していることもミステリアスな緊張感や幻想性/幽玄性に拍車をかけており、場面によっては4AD的な暗さと儚さを内包した薫りも漂ってくる。ブラックメタル特有のエグさや禍々しさが空気を支配することもあるが、それでも神々しさと美しさを持ち合わせた世界観に昇華してくる辺りは、自然崇拝を掲げるこのバンドならでは。緻密な構築力と美意識の妙がもたらす産物である。

 前作では、どちらかといえばダークで苛烈な音の渦ともいうべき攻撃性を重視している印象を個人的には受けたんだけど、本作における深化は最近のポスト・ブラック勢の台頭する中でも抜きんでた存在感を放っているように思う。凍りついた静寂を挟みながら美しいメロディと苛烈なブラックメタルで畳かける#6、大自然の重みが集約したかのような圧倒的個性を放つ大迫力の#7という10分超の曲連発の締めくくりは震撼必至です。

 本作はPitchforkで8.6点(Best New Musicに選出)Silent Balletでも8.5/10を獲得しており、メタル界隈に留まらない地盤でも高評価を獲得。他にはないブラックメタルの新たな響きを内包した荘厳で幻想的な世界は、まだまだ多くの人間達を巻きこみそうだ。


Black Cascade

Black Cascade(2009)

   山奥で自給自足をしながら自然と共生しているブラックメタルバンドの約1年半ぶりとなる3rdアルバム。1stアルバム同様に全曲10分越えの全4曲が収録されている本作もこれまで通りに強烈な一枚だ。

 奥深い負の激情をヒステリックに叫び、禍々しいリフと怒涛のブラストビートが引き起こす残虐な嵐。その裏ではシューゲイザー風味の儚げなメランコリーや神秘的なキーボードの音色などを絡めてドラマ性を内包。そういったアトモスフェリックなブラックメタルというこれまでの姿勢からは大きく変更点はないのだが、本作は前作以上に阿鼻叫喚というか、常に戦闘モードで暴虐性と殺気を表に出してきたのが特徴的。前述した静と動の対比がこれまでは均衡がとれていたのだが、女性の艶かしいコーラスがなくなった事もあり、体を引き裂くような激しさの方がイニシアチブを取っているように感じられる。いきなり地獄へと雪崩れ込むような#1からして、邪悪な炎が彼方此方に燃え広がっていくような凄まじさ。とはいえ、大きな起伏のある展開を主体にして、鬱々とした澱みと大自然の重みをぶつけてくるような壮大かつドラマティックな激烈サウンドは彼等の培ってきた音楽そのもの。人間の奥底に眠る邪な感情を爆発させ、やがては鬱蒼と広がる幽玄な森に魂を吸い寄せられ、最後には肉体を捧げて、生命は終わる。つまり、死ねます。荘厳な哀愁が以前よりも弱まった印象は受けるのだが、揺ぎ無い個性を発揮しつつもさらに攻撃性/衝動性を高めたそんな作品に仕上がっているといえるだろう。

 ちなみに今回はSouthern Lordからリリース。日本盤は前作同様にDaymareさんから初CD化となるEPをつけた2枚組で発売予定なので、ボーナス音源も欲しいという方はそちらをチェックすると良いだろう。


Two Hunters

Two Hunters(2007)

   アメリカはワシントン州オリンピア出身のブラックメタルバンドの2作目。既にISISやJESUから前座に指名されるなど、評価も高くここ日本でも本作で早くもデビューを飾った。

 4曲ながら約46分と長尺の楽曲が並ぶ今作。ノルウェーの先駆者達のブラックメタルを血肉としながらもアンビエントミュージックやシューゲイザーの要素を巧みに取り入れて、先人達とは違う切り口でブラックメタルを開拓。幻想的な雰囲気をかもし出し、想い出が走馬灯のように駆け巡る哀愁の懐古フレーズから、身も心も八つ裂きにするブラックメタルパートに移ると言葉も出ないくらいに圧倒される。自然との調和も図っているかのように共鳴するトレモロリフ、それをぶち壊すヴォーカルとドラムの破壊力がツボです。個人的には美しい女性Voと残虐なブラックヴォイスのネイサンとの対比が、ブラックメタル独特の儀式にも感じられる#3が好み。平和が一瞬にして地獄の渦に飲み込まれていく様に度肝を抜かれる。そして約18分の#4では地獄の縮図を垣間見れる怒涛のブラックパートの行き着く先に楽園が見える大曲となっています。

 日本盤には2005年に発表したデモアルバムの音源3曲を収録したボーナスディスクが付属。3曲で約51分(#3は26分という長尺)、初期衝動をパッケージしたおぞましい残酷な竜巻が一面を負のスパイラルにかけていく恐ろしさが詰まっているので、日本盤がオススメです。

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