Yeasayer ‐‐Review‐‐

ブルックリンのニュー・カマーとして現在注目を集めた5人組。デビュー作ではガレージやサイケの要素の強いロックを志向していたが、2010年発売の2ndフルアルバム『Odd Blood』で80年代のエレポップへと一気に姿を変えて度肝を抜いた。


Odd Blood [ボーナストラック4曲・解説付き国内盤] (BRC-260)

Odd Blood(2010)

 ここ数年で一躍シーンの注目を集めると同時に、様々な個性と独創性に溢れたバンドを大量生産してきたブルックリンからまたしても新星が登場。それがこのイェーセイヤー。サウンドとしては非常にポップネスにベクトルが振れているのだが、時にトライヴァルに蠢くリズムで身体をくねらせ、時に幻想的なサイケデリアが地平を覆い、時にシンガーとしての魅力も溢れる、そんな幾つもの表情をもった作品を本作で提示している。

 少しばかり古めかしいシンセの音色と心地よい躍動感、それに艶やかで端正な表情も滲むヴォーカルが絡みあって、優雅に色づいたエレポップを展開。アニコレやギャング・ギャング・ダンスほど奇天烈な創造性を発揮しているわけではなく、非常に耳なじみの良いポップネスを内包しているのが聴きやすい。柔らかな浮遊感や巧みなレイヤーの編み方からは理知的な部分も垣間見れて実験的とも思えるのだが、確実にリスナーの方に向けて作られていることがわかる。未聴の前作ではガレージやサイケなどの古めかしい要素を巧く取り込んだロックの性質が強い作品だったそうだが、本作ではエレポップが主軸といえるだろうし、R&BやHIP HOPの要素を意図的に取り込んでリズミカルに心地よく聴かせてくれている印象。さらにはその唄にもとても説得力があって、シンガーとしての力もただならぬことを証明。エレクトロニカに限らず、ロック、ハウス・ディスコ、R&B、ダンスミュージックなど雑多な要素を練りこむことでの極彩色の煌きも求心力へと繋げている。

 音の端々からはエキゾチックな魅力すらも漂い、プリミティヴな熱気には感興をも覚えてしまう。話題を呼んだというシングル#2を始めとした大胆なポップさを纏った楽曲群は確かに魅力的で、深遠なアート感覚すら湛えているのもまたおもしろい。

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