今、読むべき一冊。アルベール・カミュ『ペスト』を読む

¥825 (2021/06/08 22:44時点 | Amazon調べ)

ペストの日ざしは、あらゆる色彩を消し、あらゆる喜びを追い払ってしまったのである(p164)

 新感染症が世界的に蔓延する中で、在庫切れになるほど売れているアルベール・カミュの『ペスト』。わたくしも購入して読み終えましたが、現状と重ねながら小説だけにとどまらないリアルさを感じました。1940年代、ペストが流行した街・オランは各国から封鎖され、世界的に完全追放。その中で懸命に生きる市民の様子をある医師の視点から描いています。疫病の前に追い込まれた人々はどう振る舞い、どう生きるか。

 ペストに対する予防からある物が売り切れたり、「自分はペストにかかった」と町へ飛び出してしまう人間がいたり。現在のような問題点(特に人間のモラルという部分)がここでも書かれており、人間の本質はいつまでたっても変わらないのだと思わされる。正しい態度をもつこと、誠実に生きることは本作で説かれていることであるが、そんな強さを保てる人がどれだけいるか。70年前の作品が投げかけるものは多い。

世間に存在する悪は、ほとんど常に無知に由来するものであり、善き意志も、豊かな知識がなければ、悪意と同じくらい多くの被害を与えることがありうる(p193)

結局最後のところで気がつくことは、何びとも、最悪の不幸のなかにおいてさえ、真実に何びとかのことを考えることなどはできないということである(p356)

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次
閉じる