新感染症を前にして パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』を読む

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 イタリア・ローマに暮らす著者が、2月下旬から3月上旬に書かれた、新感染症にまつわるエッセイを27本まとめたもの。さらに3月20日付の記事が、日本語版には追加されている。

 時期的にいえば、イタリア国内でまだ爆発的な感染者増加の前。とはいえ、早くから警戒の色が伺えるエッセイであり、みなが「心配しすぎだ」と言う中で著者は既に挨拶のキスやパーティーに参加することを控えていたという。3月20日のあとがきでは、より深刻な現状が伝わってくる。印象的なのは、決してある国が悪いとは言わず、人類全体の責任として捉えていること。

 また、あとがきで繰り返される”僕が忘れたくないこと”は、「まさかの事態」に不意を突かれないために各個人で意識しておきたいことばかり。作品自体は短時間で読めます。今現在にしても過ぎた後にしても、氏の冷静に捉えた言葉の数々、忘れないようにとどめておきたい。少し経てばまた読み返すことでしょう。そして、本著の印税の一部が医療関係に寄付されるとのこと。

感染症の流行時、僕らは自由でありながらも、誰もが自宅軟禁の刑に処された受刑者なのだ(p37)

感染症流行時に助け合いの精神がない者には、何よりもまず想像力が欠けているのだ(p45)

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