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嘘っぱちでできている 村田沙耶香『変半身』を読む

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 『変半身(“かわりみ”と読む)』。表題作と「満潮」の中・短編二つを収録。「変半身」は松井周さんとの共同原案で製作され、小説版を村田さん、舞台版を松井さんがそれぞれ担当している(島を舞台にしているのは同じだけど、内容は結構違うらしい)。

 「変半身」、この世界は嘘っぱちで造られている。端的に言ってしまえばそんな感じです。舞台は人口2000人ほどの離島・千久世島。造物主「ポーポー様」なる独自の神話を持つこの島では、年に一度の秘祭「モドリ」が伝統として行われている。けれども、その伝統は元々あったものでなく、ホンの20年〜30年ほど前に捏造されたされた儀式だったとなり・・・。それにより島は変わる、島民も変わる。お得意の常識ビッグバン。そして島は新しいプロデューサーを迎えて、また変わろうとする。無は何も生み出さない。そして人間は、新しい真実を食べ続ける。都合が良ければ良いほど美味しい新しい真実を。だからこそ振り回されていく・・・。村田さんらしさに溢れている一作。

 「満潮」では性へのコンプレックスを抱く夫婦について書かれているが、潮を噴こうとする夫を描いてるのが何とも凄い。そのことで夫婦の連帯が強まる感じが出ているのが不思議だ。「僕たちの身体には奇跡が眠っているんだ」という夫の言葉に泣きそうになる妻、そのシーンが印象的。

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