山崎ナオコーラ『この世は二人組ではできあがらない』を読む

「社会の芯に繋がるようなストローを見つけたかった。」1978年生まれの私は大学をでて働きながら、小説を書いている。お金を稼ぐこと。国のこと。二人暮らしのこと。戸籍のこと。幾度も川を越えながら流れる私の日常のなかで生まれた、数々の疑問と思索。そこから私は、何を見つけ、何を選んでいくのだろうか。「日本」の中で新しい居場所を探す若者の挑戦を描くポップな社会派小説。

僕が読んだ著者の中では『可愛い世の中』が近い気がする。主人公・栞が感じる女性としての世間的・社会的役割とのギャップ。性別から解放されて、子どもを持たずに社会的な役割を得ようと生きていく。それでも、子を持つことでの社会参加も諦めてない。傲慢であろうと、他者に生き方は決めさせないし、自分のできるべき生き方に貪欲であろうという姿勢を貫いています。

栞は働きながら小説家を目指す。文芸賞に3年連続で応募。やがて報われる。78年生まれとあるので私小説に近い印象もある。恋人である紙川さんとのやり取りが大半を占めるが、そのロマンスも長く続くことは無く、栞の精神的成長とともに関係性は終わりいく。”仕事とは大きな場所でたくさんの人間と繋がること”、”国家とは国民ひとりひとりが作っている”と物語の終盤で彼女の視点はさらに大きくなる。ナオコーラさんらしい思想の吐露、その緩急自在っぷりが見事。

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