普通を考える 『まともじゃないのは君も一緒』鑑賞

成田演じる数学一筋〈コミュニケーション能力ゼロ〉の予備校講師・大野と、清原演じる知識ばかりで〈恋愛経験ゼロ〉の香住。全く噛み合わない二人が繰り広げる “普通じゃない”ラブストーリーは、現代の誰もが抱く“自分って普通?“という不安を代弁したような作品となっており、独特のテンポかつノンストップで繰り広げられる終始噛み合わない会話劇が、成田と清原の演技派俳優二人によって見事に成立。

 『まともじゃないのは君も一緒』を鑑賞。これ、最近観た中では一番おもしろいです。数学者の夢破れた予備校教師の大野(成田凌)、その教え子で受験勉強に励む高校生・香住(清原果耶)。2人の絶妙な会話劇を武器に突き進むコメディ作品となっております。ラブコメに属するだろうけど、コメディ・喜劇感の方が強いのは、会話のテンポとユーモアに引き付けられるか。結婚願望のある大野に普通になってもらおうと香住は考え、恋愛体験を通して普通化を図る。その中で考える普通とは。

 普通とは何か。言葉はよく使うけど、規定できるロールモデルはない。吉田修一先生は「普通とはレベルの高いこと」と言い、村田沙耶香さんは名著『コンビニ人間』で普通という圧力にさらされる30代中盤女性を描いた(僕はコンビニ人間を10回ぐらい読んでる)。そのコンビニ人間の文庫解説で中村文則さんは、”社会は多様性へと向かってはいるが、実はその逆で普通圧力はより高まっている”と突く。普通が一番、そんな言葉はあるが、普通は難しい。”みんな違ってみんないい””は幻想であり、それを断ち切ることの難しさを観ながら考えてしまった。

 着地点は普通に縛られなくて良いということか。そりゃあ成田くんはちゃんと仕込めばハイスペックな人間になるよね(笑)。最後には、清原果耶さんはいつだって素晴らしいと思いました。ちなみに本作では彼女が歌うPUFFY『これが私の生きる道』が聞けます。

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