ラストの感情噴出に心が動く 『生きちゃった』鑑賞

 英語だとスラスラ本音が言えるのに、日本語だと言えないのはどうしてだろう。僕が日本人だからかな」 英会話教室でのそんなやり取りが最後まで尾を引くし、詳細は一切語られなかったが、”じいちゃんって本当にいたのかなあ”というやり取りもまた伏線として置かれています。

 本音をいうことが正しいときもあれば、言わないのが正しいときだってある。そこにはきっと相手を思いやる気持ちがあるはずだから。シンプルにやり取りできれば、本作のような思った以上に重厚なドラマはなかっただろう(軽い気持ちで観てたけど、登場人物それぞれがかなり悪い方に堕ちます) でも、人間は複雑だ。たとえ言葉で尽くしても行動で尽くしても、間違えることはある。だから、必ずしも言葉にして伝えることが一番大事だとは僕は思わない。

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 しかしながら、あの壮絶なラストシーンに向かうべく、凝縮しつづけ、一気に映画的なカタルシスで持っていく本作はなかなかに素晴らしかった。主演の3人(太賀、大島優子、若葉竜也)の演技はかなり痺れます。レ・ロマネスクの登場だったり、大麻やめろー!の大号令だったり、それなのに大麻をおいしく吸うにいちゃんだったり。想像したよりも重めのテイストと緊張感に包まれた本作の中で、意外とシュールな笑いがあったりするのもいい。

 何にせよ観終わったあとも強い力で感情引っ張られている、そんな力作。『宮本から君へ』ばりの熱量あります。最後は本当、なんていう爆発力だ。

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