2004年1月~2017年7月まで13年間、音楽サイトとして運用。4年ぶりに形を変え、2021年6月より再始動。

ときめくどころではない超断捨離祭『ハッピー・オールド・イヤー』鑑賞

 『ハッピー・オールド・イヤー』を鑑賞。冒頭に映っている白を基調とした簡素なオフィスでインタビューを受ける主人公の女性・ジーン。早くも本作のゴール地点を示しているけど、たどり着くまでにはどういった経緯があったのかを、片付けのステップと共に進めていくのが本作です。先日観た『100日間のシンプルライフ』は断捨離の映画ではありませんでしたが、こちらはちゃんと断捨離してミニマリスト化していく過程を描いてます。

 デザイナーとして北欧スウェーデンに留学し、帰国したジーン。そこでミニマルスタイルは仏教に通ずることに気づく。実家を大幅リフォームし、音楽教室崩れとなっている1Fを自分用のオフィスにしようと計画する。それで、断捨離こそ正義!の大義名分のもと、ゴミ袋というブラックホールに物を捨てて、捨てて、捨てまくる。写真等はクラウドで管理し、音楽や本はサブスク等を利用してくのが正解だ。多分、今後は服とかもそうなりそう。服に関して言えばジーンさんは、家では白いオーバーサイズTシャツと黒系のショートパンツ、外では白の襟付きシャツとネイビーのワイドパンツとユニフォーム化しています。

 一応、作品自体は片付けのステップのような形でチャプター分けされている。でも前半の作戦は完全にガンガン捨てようぜ!という感じ。邪魔をしてくるのは、自分の中にある思い出や感情。これらをシャットダウンしないと捨てることは、はかどらない。後悔も敵でしかない。そんな中、協力者の兄が”世界のKonMari(近藤麻理恵さん)”のときめきのこんまりメソッドを手本に観てる。おそらくNetflixの番組。KonMariさんは顔がギリギリ映らない感じで3、4回出てくるんだけど、その度に兄妹で煽ってて笑う。

 途中からはガンガン捨てようから、借りた物はちゃんと借りた人に返そうというコーナーに移る。それは友人関係を壊しかねないある事件が起こったので返すようにするのだが、ジーンが物を通して過去と自分を見つめ直す、もうひとつのテーマがこの辺りから表出してくる。元彼と現在の恋人が中盤で登場してからは、物にもストーリーがあり、それは確実に人とも結びついてることに気付かされる。回想シーンを全く使わずに、現在進行形でこれを表現しきっているのが単純に凄いと感じました。

 捨てる時にどうしても消えない罪悪感、それでも捨てるのは前へ進むため。物を整理することは、ひいては自然と人間関係の整理・精算につながっていく。断捨離を通して浮かび上がる”選択の重要性”。人生はその連続である。様々な過程を経て、ラストに溢れ出すジーンの感情は、なかなかに切ないものがありました。ちなみに自分は、本作を観て家の整理をちゃんとするようになりましたので、たいぶ影響を受けた作品です。

目次
閉じる