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辞書作りの果てしなき道のり 『博士と狂人』鑑賞

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初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を描く、実話ベースの映画です。辞書の制作については、『舟を編む』を読んでいるので途方に暮れるような作業であり、道のりであることは理解しているつもりです。それよりも遥かに言葉が多く、また必要としてる人も多い、英語の規定はもっと大変でしょう。

本作においては見出し語の選定、それに伴って掲載する言葉・語句には13世紀~19世紀まで書物からの引用をつけることを絶対条件とするなど、骨折れる作業がひたすら続く。その無理ゲーを気合と根性と知識で乗り越えていく、マレー博士とその仲間たち。もちろん、パソコンなければwebもない時代。そんな時に言葉を規定するということは、人の一生を捧げても終わりの見えない旅である。ドラゴンボールの龍の道ぐらい果てしない。

博士と狂人というタイトル、実際には2人ともが博士級(言語学者と軍事医)なんですが、ショーン・ペン演じる狂人の方が戦争によって病んでしまい、その心の不安定さゆえに人を殺めてしまう。そんな狂人に対しての友情と赦しを描くことの方が、辞書の編纂よりもメインになっている感じではあります。彼の苦しみやトラウマは、贖罪の生として終わりなく続く。それでも辞書作りを通して得た友情には美しさを覚える。

先人の残した辞典の偉大さとその恩恵。言葉をこうして使えることのありがたさを身に沁みて感じる。

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