まるでドキュメンタリーのように『朝が来る』を鑑賞

 河瀨直美監督の最新作。辻村深月さんによる小説の映画化。読んだのが文庫化された2年前なので細かくは覚えてませんが、大まかな流れは観て蘇ってきた感じ。特別養子縁組をして子供を迎え入れ、育ての親となる栗原佐都子(永作博美さん)と清和(井浦新さん)のパートがあり、中学生での妊娠・出産となるために育てるのが難しいので養子に出す片倉ひかり(蒔田彩珠さん)のパートがあり。

 ドキュメンタリーのようなタッチで描かれていく本作は、産みの親と育ての親、特別養子縁組、不妊治療、望まない妊娠など重いテーマを内包する。加えて河瀨監督の大自然マジック(光・海・緑・風等)による輝きと心情への寄り添い。さらには役積みによる役者のその役への修練度がもたらすリアルと臨場感。実際に映画には無いシーンを河瀨監督は役者にやらせているそうで、蒔田さんは実際に家族役の方と2週間住んで奈良の中学校に通い卓球と勉強をし、永作さんと井浦さんはちゃんと一緒に住むということを通す。

 幸福を得る夫婦と喪失感に苛まれて堕ちていく少女。そのコントラストはあまりに鮮明で残酷である。産んだことを周りに無かったことにして生きていくことを強制されるし、未成年出産後の生きる困難はただただ観ていて辛い。学校へも行けずに新聞配達、そして家族との不和と溝。『志乃ちゃん~』から印象的な演技を残し、『星の子』でまーちゃんを演じてた蒔田さんはさらに凄みを感じさせるもの。

 繋がる2人の母親、子の向けるまなざし、光と救済。予想以上に引き込まれた一作です。河瀬監督は、前作の『VISION』が難解過ぎただけに余計にそう思えるかも。

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