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翻訳の奥深さと苦悩 『ドリーミング村上春樹』鑑賞

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村上春樹の翻訳家のメッテ・ホルムは『風の歌を聴け』の一文について想いをめぐらせる。 メッテは世界中の村上春樹の翻訳家たちと議論を重ね、理解を深めるため日本を訪れ、小説の舞台となる地を巡る。 メッテを追うカメラは、次第に村上春樹の小説に描かれている並行世界を描写する。

 『ドリーミング村上春樹』を鑑賞。村上春樹氏の作品をデンマーク語訳してきたメッテ・ホルムさんを追ったドキュメンタリー映画。言葉を訳す。ひいては世界観を訳す。それにメッテさんが苦悩と奮闘する姿を記録。『完璧な文章などどいうものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね』が著者の生きる主題のように繰り返され、村上春樹氏が醸し出す世界観を余すことなく伝えるにはどうしたらいいかを、自問自答し続ける。

 作中では『風の歌を聴け』の翻訳中で物語の背景となった日本の街に足を運び、自身での体験や人々との会話を通じながら、翻訳に生かしていく。映画自体は、村上作品の雰囲気と重ね合わせながら、映像が進行していくので氏の小説世界をちょっとだけみせているようだった。猫にしても、ピンボールにしても、二つの月も。

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 村上春樹氏の作品は50以上の言語に訳されており、大半は英語に訳されたものを基に他の言語に訳されていることが多いとのこと。だから間に言語をもうひとつ挟んでいる状態で翻訳されているので、言葉の組み合わせにしろ、ニュアンスにしろ、少し問題は発生しそうな気はする。ですが、デンマーク語は日本語から直接の翻訳。当てはめるべき最適な言葉なんてのは、その国の言語によってあったりなかったりするだろうけど、文章となるとさらに難しいんだろうと思う。

 メッテさんは元々、川端康成氏の小説に感銘を受けた。その流れで村上春樹氏の『ノルウェイの森』に魅了される。そして、村上氏の背景や人柄等を心得ながら、20年以上にわたって翻訳を試みている。ちなみに本作品に村上春樹氏自身は登場しない。寸止め的。ちなみに村田沙耶香さんの『コンビニ人間』の訳も担当されています。

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