前後編合わせて4時間半の大作ボクシング映画 『アンダードッグ』鑑賞

 前後編合わせて4時間半の大作となる劇場版。一気見です。2021年1月1日には、ABEMAプレミアムで全8話の配信版が公開となる。監督を務めたのが武正春監督で、7月に公開された『銃2020』の武監督の舞台挨拶をここミリオン座で見たのも記憶に新しい。『ホテルローヤル』は公開中だし、監督は働きすぎじゃないか。

ボクシング映画、けれどもスター選手をみるわけではなく。日本ランク1位まで昇り詰めるもタイトル戦で敗れて以来、30代中盤になっても現役にしがみつき負け続ける志村晃(森山未來)。未来を嘱望される若手・大村龍太(北村匠海)、2世タレントなんだけどもテレビの企画でプロボクサーとなった宮木瞬(勝地涼)。

 3人のメインキャストを軸にストーリーは進む(勝地くんは前編のみ)。しがみつく者、チャンピオンを目指し邁進する者、何かをこじ開けようとする者、それぞれが拳を通して見る未来はいかようか。迸る熱量たっぷりの試合を前後編の終局に置き、トップランカーの試合ではないけれど観る者の胸に訴えかける。

 前編は、実際にプロボクサーになったロバート山本さんや竹原慎二氏のサポートぶりが見事。それを生かし、2世タレントの悲哀と現実に打ちのめされながらも、ボクシングを通じて殻を打ち破ろうとする勝地さんが全部持っていく。前編にしてクライマックス感は凄い。誰しもが羨む恵まれた環境で育った中で、”本物になる、何者かになろう”とひたむきにする姿は胸を打つものがありました。

 後編は志村と大村の2人の関係を明らかにしながら、2人の試合へとなだれ込む。なんだかんだ前後編通して思うのは、圧倒的な森山未來ということです。表情、体つき、意志。ボクシングをやり続けることでしか生きる方法がわからない。負け続けの人生だけれども。そんな男の無様な輝きに熱いものがこみ上げます。

 日本でトップランカーになろうと、世界チャンプにならないとボクシングで生活していくことは容易ではないのか。「輝けるのは世界チャンピオンだけ」ってセリフはそういう意味なのかなと思いました。それにしても、映画監督じゃなくて役者として出演していた、二ノ宮隆太郎さんのヘイコラ感MAXのデリヘル店長役は印象的だったな。

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