主役を女性版にしたことで増すクレイジーさ 『銃2020』鑑賞

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 中村文則さんのデビュー作『銃』、2018年11月に映画化されましたが、そこから主役を女性版に変えたスピンオフ作。新たな視点で描かれたものであり(原案は中村文則さんで、脚本の8割は氏によるものだそう)、前作との連続性は一応ない。リリー・フランキーさんは前と同じ役で出てるらしいし(友情出演で、ストーリーに大きな関係はないが)、ロケ場所も同じところを使ったりしてるみたいだが。ちなみに前回はモノクロでしたが、今回は全編カラーです。ただ、内容に同調してか雨と闇が映える。

 『銃』ではトースト女役だった日南響子さんが主演の東子役で、全編に渡って美脚祭り。官能的な美しさを漂わせる。しかしながら、共感というのをとにかく排除したもので、誰一人わからないし、得体が知れない。”まとも”とか”道徳”という言葉を知らない、ぶっ飛んだクレイジー軍団参上である。

 佐藤浩市さんは素性が全くわからず良いヤツか悪いヤツか判断つかない。加藤雅也さんは日南響子に蹴られ隊!ドMストーカー役で、娘(東子)を「あなたはいらない子ども」と執拗に言い続けて歪ませた毒母役に友近さん。きな臭い刑事役に吹越満さんがいて、東子は東子でボロアパートをゴミ屋敷化させ、電気を止められてのその日暮らし生活。人物もストーリーも理解を突っぱねているところがある。

 もちろん銃を拾って物語は展開していきますけど、銃に取りつかれて異様な愛着を見せるも、人間の理性が狂わされていく感じはなかった。素性の知れない人間たちが繰り広げる世界は、感情移入とか共感とかまるでないところ。76分という短い尺で陰鬱に沈み続ける。なかなかにクレイジーな作品。

 伏見ミリオン座にて鑑賞。上映後に監督の舞台挨拶がありましたが、まず舞台挨拶ができることに、とにかく感動してたのが印象的でした。コロナ後の世界、映画界も大変です。

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